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マラソン代表、一山麻緒の原動力。
ポジティブシンキングと鬼メニュー。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2020/03/09 11:50
名古屋ウィメンズマラソンで2時間20分29秒をマークし優勝した一山麻緒。東京五輪の代表に決まった。
華やかな成績とは無縁の存在だった。
もともと地道に力を蓄え、歩を進めてきた選手だ。
高校時代は、3年生のときに全国高校総体の1500m、3000mに出場したが予選落ち。それがめぼしい成績と言えるくらい、華やかな成績とは無縁の存在だった。
それでもワコールの先輩である福士加代子に憧れ、自身もマラソンを、と目標を持ち、入社後、駅伝などでスピードに磨きをかけ、着実にステップアップしてきた。
MGCではゴールまでスピードを保てなかったが、地力を確実につけることができたレース後の取り組みも、これまでの歩みを想起させる。
女子に向いていない厚底シューズが武器に。
また、女子には筋力の面で決して向いていないと言われ、男子ほど浸透していないナイキの厚底シューズを2月から履いてきた。この日も、最新モデルを上位の選手では唯一、使用している。
大きなストライドゆえに筋力があり、またさらに鍛えたことで、武器として生かせるようになったのだ。
「中学生くらいから出たいとぼんやり思っていて、実業団で近い位置まで来ることができて。思っていたことを手にすることができたのはうれしいです」
という東京五輪への抱負として、こう語る。
「もう一段、質の高い練習をして、日本代表として、恰好いい走りができたらと思います」
内容とタイムで、十分、世界上位で戦える可能性を感じさせた一山は、大舞台を明るく見据える。