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マラソン代表、一山麻緒の原動力。
ポジティブシンキングと鬼メニュー。
posted2020/03/09 11:50
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
KYODO
圧巻の勝利だった。
3月8日、東京五輪マラソン女子日本代表の最後の選考大会、名古屋ウィメンズマラソンが行なわれた。
優勝したのは一山麻緒。タイムは日本歴代4位であり国内レース最高となる2時間20分29秒。1月の大阪国際女子マラソンで松田瑞生が記録した2時間21分47秒を上回り、代表の座をつかんだ。
「今日みたいな日が来るのが夢でした」
レース後、喜びを率直に表した。
速さと強さを見せつける勝利。
気象条件には恵まれなかった。雨が降り、肌寒さを感じるコンディションの中、一山は先頭集団でレースを進める。
ペースメーカーが設定通り、1キロあたり3分20秒のペースを保ち、推移する。
レースが動いたのは30キロ過ぎだった。
給水したあと、一山がスピードを上げて飛び出す。海外の選手も振り切り単独トップに立ったのだ。
失速することなく、そのままトップでゴール。速さと強さを見せつける勝利だった。
狙い通りの走りだった。30キロ過ぎの給水で毎年レースが動くと陣営からアドバイスを受けていた一山は、「(給水を)取り遅れて海外の選手と差が出るより、いちばんで給水を取って勝負していく方がスムーズにレース展開できる」と考えていた。
そして30キロからが本当の勝負であるとも思っていた。