プレミアリーグの時間BACK NUMBER
“たかがリーグ杯”3連覇の大偉業。
揺れるマンCで輝く19歳フォデン。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/03/08 09:00
下部組織出身でグアルディオラ監督の期待も厚いフォデン。今回のリーグカップ決勝で見せたプレーを続ければ、将来の軸となれるはずだ。
相手ファンから次々と“悲鳴”が。
決勝の90分間からマン・オブ・ザ・マッチを選ぶなら、フォデンになる。
19歳のスタメンは意外だったが、2列目右アウトサイドで躍動した。リーグ戦では2試合しか先発していないが、チェイシングに消極的な相手MFアンワル・エルガジとの勝負でも優位に立つあなど、立ち上がりから積極的に攻撃に絡み続けた。
トップ下のダビド・シルバや、中盤中央に入ったイルカイ・ギュンドガンと連係し、軽快なボール捌き、ダブルボランチの1枚だったロドリゴのダイアゴナルパスに反応し、絶妙なライン裏への飛び出しも披露した。そのロドリゴからの浮き球に呼応し、頭での折り返しでアグエロのゴールをアシストしたシーンが好例だ。
筆者のいたメインスタンド西側記者席の周辺は、アストンビラ・ファンの観客席。フォデンがシティの攻撃に絡む度に「止めろ!」「なんとかしてくれ!」という声が上がっていた。
試合前、期待された生え抜きの若きMFと言えば、ジャック・グリーリッシュのはずだった。キャプテンマークを付け、今季リーグ戦で7得点6アシスト、オープンプレーでのチャンスメイク57回、ドリブル走行距離7354m、FK獲得122回はすべてチーム1位。アストンビラの生命線とも言うべき24歳がいなければ、アストンビラは2部へのUターンが確実視されて3月を迎えていたはずだ。
「時期マジシャンでシティの将来」
だが実戦では、シティのユース出身者がスポットライトを浴びた。
フォデンは、ウェンブリーのピッチでシュート5本、ボールタッチ71回、パス51本、パス成功率90%。スタッツでも同じくフル出場のグリーリッシュを上回った。タックル成功2回には、グリーリッシュからのボール奪取も含まれている。
試合後のピッチでは、優勝カップを手にしたマン・オブ・ザ・マッチの肩にグアルディオラ監督が右腕を回し、左手は親指を立てたサムズアップで写真に収まる姿があった。
グアルディオラは、就任当初に一軍練習に招いて見初めたフォデンを、今季限りで去るシルバの後を継ぐ「次期マジシャン」、「シティの将来」とまで呼んで憚らない。