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“たかがリーグ杯”3連覇の大偉業。
揺れるマンCで輝く19歳フォデン。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Images

posted2020/03/08 09:00

“たかがリーグ杯”3連覇の大偉業。揺れるマンCで輝く19歳フォデン。<Number Web> photograph by Getty Images

下部組織出身でグアルディオラ監督の期待も厚いフォデン。今回のリーグカップ決勝で見せたプレーを続ければ、将来の軸となれるはずだ。

ストーンズを笑顔で励ました。

 また指揮官は、ストーンズを誰よりも長く祝福のハグで抱きしめ、肩や背中をパンパンと叩きながら笑顔で言葉を交わした。その行動にストーンズは、やや驚きの表情。優勝決定直後とはいえ、完璧主義者であるグアルディオラからの注意を覚悟していたのだろう。失点に繋がったスリップは、集中力を欠いていた瞬間に頭越しのボールが来て慌てた結果としか思えなかった。

 ところがグアルディオラは会見の席でも語ったように、大観衆の目の前でミスを犯しても萎縮せず、「その後はまったく落ち度なく、最後は2度の重要なクリアも見せた」ストーンズの立ち直りを高く評価したのだ。

  失敗を教訓にポカをなくせば、足元の技術も攻撃意欲もグアルディオラ向きのCBに今後もチャンスが与えられそうだ。フォデンといいストーンズといい、シティは現体制下で8つの主要タイトルを獲得したここまでのみならず、未来も明るいと思わせた。

CL優勝に向けて意義ある1冠。

 近未来にはCL優勝の可能性も存在する。クラブ史上初の欧州制覇が実現すれば、国内三冠を達成した昨季を凌ぐ、グアルディオラ体制下でも最大の成果を収めたシーズンとなる。

 リバプール、ユナイテッド、ノッティンガム・フォレスト、アストンビラ、チェルシーに続いて、欧州の頂点を極めたイングランド勢6番手となれば、それだけでも偉業中の偉業と言っていい。

 筆者自身、贔屓のチェルシーが悲願のCL優勝を成し遂げた2011-12シーズンは、FAカップとの国内外二冠を達成したシーズン以上に、「CL初優勝の年」として深く記憶されている。

 シティのファンもCL初優勝で今季を終えれば、その2カ月ほど前のリーグカップ優勝は記憶のなかに埋もれてしまうかもしれない。

 とはいえ、まずは結果を残さなければならない。

 3月17日のレアル戦第2レグを前に実現した優勝の意義は絶大だ。リーグでは2位が現実的な状況でも、フィナンシャル・フェアプレー規則違反の罰則としてUEFAに来季から2シーズンの欧州参戦禁止を告げられている立場でも、まだ終わったわけではない。

 この先、シティは実際にトロフィーを獲得する可能性がある。勝者となるための実力と意欲は十二分にある。そう実感させたウェンブリーでの優勝だったのだから。

 たかがリーグカップ、されど意義ある今季1つ目のタイトル獲得である。

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