フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
新型コロナとカナダ世界フィギュア。
日本の選手とファンは入国できるか?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byKYODO
posted2020/03/02 11:30
羽生結弦がフィギュア四大陸選手権で優勝した韓国の木洞アイスリンク。その後、新型コロナの影響で一時的に閉鎖されている。
モントリオール世界選手権への影響。
さらに懸念されるのは、シーズンのハイライト、3月18日からモントリオールで開催が予定されているフィギュアスケート世界選手権である。
これから3週間の間にカナダで新型コロナウイルスがアウトブレークする可能性は少ないものの、入国管理規制の状況によっては中国、韓国、日本からこの大会にために移動する関係者、そして応援ツアーの観客たちの入国に影響が出てくる可能性はゼロではない。
この原稿を執筆中の2月29日現在、カナダの入国管理局ホームページによると新型コロナウイルスの影響は、通常の入国管理手続きに過去の滞在地と体調に関する質問が、追加されたという程度である。
だが現実的には、2月21日に世界的に有名な中国出身のピアニスト、ニューヨーク在住のユージャ・ワンがバンクーバー空港で入国の際に1時間拘束されて、本人のリサイタルに遅れそうになるという事件もあった。
日本の選手やファンは入国できるのか。
羽生結弦や宮原知子など、カナダを拠点としている選手たちはもちろん入国管理規制の影響はない。また幸い、世界選手権に出場予定の中国の選手の多くが、すでにトロントで調整をしているという情報も入ってきた。
だが残りの日本の選手、また中国、韓国の選手たちが一部でもカナダへの入国を拒否された場合、それでも世界選手権は通常通り開催されることになるのか。
ISUは頭が痛いところだろう。
また多くの関係者が心配しているのは、一部では3000人とも見積もられている日本からの観戦ツアーのファンたちが、無事に入国できるかどうかということだ。
特に羽生が出場する大会では、会場の半分以上が日本のファンで埋まることも珍しくない。日本のファンは海外の選手へのサポートも惜しまず、開催側にとってもありがたい存在である。
この日本のファンたちが万が一にもキャンセルせざるを得ないような状況になることを、関係者たちは恐れている。