スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
びっくりチームとがっかりチーム。
2020年MLBの穴馬を占おう。
posted2020/02/29 09:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Masterpress/Getty Images
2020年MLBの春季トレーニングがはじまった。オープン戦もすでに蓋をあけ、新たに大リーグ入りした筒香嘉智や秋山翔吾も、アメリカ野球に順応する構えを見せている。楽しみが増えた。
とはいえ、開幕にはまだ間がある。
ナ・リーグではドジャース、ア・リーグではヤンキースを本命に推す声が高いが、戦力分析や順位予想は、もうしばらく様子を見ることにしよう。この時期には、サプライズを起こしそうなチーム(びっくりチーム)と、失望を与えそうなチーム(がっかりチーム)を占ってみたい。
王朝は生まれそうで生まれず。
まず、この10年間を振り返ると、前年のワールドシリーズ覇者が翌年もプレーオフに進出できたケースは3度しかない。
前年よりも勝ち星を上積みできた覇者となると、2017年→18年のアストロズだけだ。王者に死角なしという常套句は、まったく当てはまらない。王朝は生まれそうで生まれず、むしろ脆い側面がつぎつぎと暴かれていく。
というわけで、昨年のワールドシリーズ王者ナショナルズも、がっかりチームの上位候補に躍り出そうな気配がある。なによりも、打線の中軸を担ったアンソニー・レンドンが去ったことが大きい。レンドンは、FAの資格を得てエンジェルスと契約した。
もうひとつの懸念は、先発4本柱(マックス・シャーザー+スティーヴン・ストラスバーグ+パトリック・コービン+アニバル・サンチェス)が、昨年は順調すぎたことだ。
4人とも27試合以上の先発登板を果たしているのだが、全員30代とあって、今季は故障の心配がちらつく。足並みをそろえて健康を維持するのはむずかしいのではないか。