スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
びっくりチームとがっかりチーム。
2020年MLBの穴馬を占おう。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byMasterpress/Getty Images
posted2020/02/29 09:00
野球評論家の中畑清氏と挨拶を交わす秋山。強力打線の一角を担うリードオフマンとしての期待がかかる。
秋山翔吾が入団したレッズの評価は?
一方、ナ・リーグで面白そうなのは、秋山翔吾が入団したレッズだ。
ここも6年連続負け越し中だが、今季は秋山のみならず、マイク・ムスタカス、ニコラス・カステラノスといった30歳前後の打撃職人が加わった。秋山とカステラノスには確実性が、ムスタカスには破壊力が期待できる。
投手陣もなかなか豪華だ。いまやエースに成長したルイス・カスティーヨを筆頭に、安定度の高いソニー・グレイ、理論派のトレヴァー・バウアー、老巧の域に近づいたウェイド・マイリーらが並ぶ先発陣は、リーグ屈指といっても過言ではない。
カブスとブルワーズがやや弱体化したナ・リーグ中地区だけに、レッズには注目を怠れない。
サイン盗み、アストロズの行く末。
ところで、話は最後にがらりと変わるが、サイン盗みが明るみに出て、ファンを大きく失望させたアストロズは、どんなシーズンを送るのだろうか。
エースのゲリット・コールが去ったダメージはもちろん大きいが、衆目を集めるのは打率や本塁打数の推移だろう。これが大幅に低下するようなら、それ見たことかの大合唱がはじまるだろうし、前年と変わらぬ結果が残せれば、選手たちの地力が証明されたことになる。
「がっかり」か「びっくり」か。果たしてどちらだろう。
アストロズが4年連続100勝以上を達成すれば、「びっくりチーム」の仲間入りはまちがいない。
ただ、もしそれが実現されたら、あのサイン盗みは、本当に無駄で貪欲で、くだらない悪だくみだったことになる。余計なことをしなければよかったのに。