オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦の練習を見て「目が点」。
佐藤駿、五輪へのステップを着実に。
posted2020/03/01 09:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Takuya Sugiyama
フィギュアスケートの2019-2020シーズンも、いよいよ佳境を迎えようとしている。その中で、たしかな成長とともに1つの立ち位置を確立した1人が、佐藤駿だ。
高校1年生となった今シーズン、ジュニアグランプリシリーズに初めて派遣されると、8月のアメリカ大会で優勝、9月のクロアチア大会で3位の成績を残し、ジュニアグランプリファイナルに進出を果たす。
12月に行われたファイナルで、佐藤の名は一気に世界に広まることとなった。
小塚、羽生、宇野に続く4人目の偉業。
ショートプログラム3位で迎えたフリー。佐藤は国際スケート連盟(ISU)の公式戦においては初めて4回転ルッツに成功、計3本の4回転ジャンプを決めるなどパーフェクトな演技でフリー1位となった。
ショートとの合計得点は255.11点、ジュニアの世界最高得点をマークし優勝を果たしたのである。優勝は日本男子としては小塚崇彦、羽生結弦、宇野昌磨に続く4人目の偉業だった。
昨シーズン、中学3年生で4回転トウループを成功させるなどして注目を集めていたが、急上昇を描いたと言ってよいのが今シーズンだ。
ここまでを振り返り、佐藤は言う。
「昨シーズンに比べたら、海外試合が増えてきて、慣れたといったらあれですけど、あまり緊張しなくなったなと思います」
指導する日下匡力コーチも、海外経験を成長の理由にあげる。
「世界に出て行ったことで、(海外の選手の)誰々、と名前がたくさん出るようになりました。『あの子のこういうところを真似したい』とか、そういう意識が出てきたし、磨かないといけない部分を見てものすごく吸収しています」