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羽生結弦の練習を見て「目が点」。
佐藤駿、五輪へのステップを着実に。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/03/01 09:00
2月に16歳となった佐藤。羽生結弦らを輩出したアイスリンク仙台でスケートを始め、7歳で東日本大震災を経験した。
「羽生君の練習を見て、目が点」
なかでも、大きな刺激となったのは羽生結弦だった。
ジュニアグランプリファイナルが開催されたイタリア・トリノでは同時にシニアのグランプリファイナルも行なわれていた。
日下コーチはこう表現する。
「(佐藤は)ファイナルのとき、羽生君の練習を見て、目が点、状態でしたね」
羽生から得た刺激はファイナルに限らなかったと佐藤は語る、
「(ファイナルでは)試合が終わってから、『4回転、後半で跳べるような練習をしたほうがいいよ』とか『フリップ、ルッツの感覚で絶対行けるよ』という感じでアドバイスをもらいました」
四大陸選手権3位の鍵山優真の存在。
全日本選手権フリーでは同じ最終組になり、公式練習でも一緒になった。
「4回転トウループとかとてもきれいで、ああいうジャンプを跳びたいなと思いましたし、スケーティングは特に勉強になりました」
もともと憧れの人だった。
佐藤は仙台でフィギュアスケートを始め、中学2年生まで当地で打ち込んでいた。同じリンクに羽生がいて、その活躍を追い続けてきた。ジャンプなどの映像をたくさん観ては手本としてきた。
海外の大会に多数出て刺激を得てきた今シーズン、羽生と同じリンクに立ったこともとりわけ糧となっただろう。
加えて、同期の存在がある。
全日本選手権で3位となり、先日の四大陸選手権で羽生、ジェイソン・ブラウンに次ぐ3位となった鍵山優真だ。
「(四大陸選手権は)観ていました。シニアの大会で緊張もせず、あれだけの演技をする。すごいなと思いました。自分もメンタル、精神的なところを強くしたいなと思います」