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猛攻サントリーと「12番ギタウ」。
SO田村熙との良好な関係性とは。
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byKyodo News
posted2020/02/26 11:40
日野戦では2トライをマークしたマット・ギタウ。178cmと小柄ながらあらゆるBKのポジションをこなす器用さで、ワラビーズでも主力として活躍した。
トヨタ戦に続き、大量得点での勝利。
第6節、日野レッドドルフィンズ戦。強風が吹き荒れる中、共同キャプテンSH流大が「(試合までの準備で)強く要求してきた」というブレイクダウンの集散、速い球出しで日野を圧倒した。ショートパスを多用しながら、近場の密集でフェーズを重ね、勝負所では自慢のランナーたちが揃う外へ一気に展開。6フェーズ続けばトライチャンスが生まれやすいというプレビューのもと、80分間粘り強く前進し続けた。
69-14、完勝である。
「70点近く獲れたこと、BPを獲れたことは満足しています。トヨタ戦(60-14)から引き続きいいパフォーマンスを出せて、しっかりと最初の入りからダイレクトに相手に当てていってスペースを取ることができた。自分たちの家族、友人、仲間たちに見せたいラグビーができたと思っている」(ヘイグ監督)
この日、マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に輝いたのはWTB中鶴隆彰だ。“フェラーリ”に負けず劣らずのスピードで駆け抜けた29歳は、脳震盪からの復帰戦でハットトリックを達成した。
ワラビーズでも活躍したマルチな才。
この中鶴とともに、MOM級の働きを見せたのが12番に入ったマット・ギタウである。ヘイグ監督もその活躍を称えている。
「(サントリーには)アウトサイドバックスに素晴らしい選手がたくさんいるので、10番、12番が起点を作ってくれるのはすごく大事なこと。ギタウはウイングの選手のためにスペースを作る仕掛けやボール回しができる。37歳とは思わせないプレーだった」
ワラビーズ(オーストラリア代表)で103キャップを誇り、あらゆるポジションをこなせるベテランは、日野戦で2トライとコンバージョン6つを決め、1人で22点を稼いだ。だが、それ以上に存在感を発揮したのは卓越したゲームコントロールにある。ヘイグ監督は、ここ最近はSOでの出場が多かったユーティリティバックスを、快勝したトヨタ戦に続いてSO田村熙の横に並べた。
サントリーのCTB陣はタレント揃いだ。破壊力抜群の突破が魅力のオーストラリア代表サム・ケレビ、ディフェンス力に優れる日本代表・中村亮土、次世代ジャパンを狙う梶村祐介、190cmのウィル・チャンバー、さらにサンウルブズのスコッドに入った経歴を持つ村田大志らも控え、組み合わせの選択肢は無類にある。
以下、第6節までのハーフ団、CTBの陣容を並べてみた。
<ハーフ、センターの並び>
第1節vs.東芝(19-26)
9番流/10番ギタウ/12番ケレビ/13番梶村
第2節vs.NTTコム(22-10)
9番流/10番田村/12番ケレビ/13番梶村
第3節vs.神戸製鋼(29-35)
9番流/10番田村/12番中村/13番ケレビ
第4節vs.NEC(40-14)
9番ジャッド/10番ギタウ/12番中村/13番チャンバー
第5節vs.トヨタ(60-14)
9番流/10番田村/12番ギタウ/13番ケレビ
第6節vs.日野(69-14)
9番流/10番田村/12番ギタウ/13番チャンバー
ケガ人やコンディションの兼ね合いも考慮したうえでの起用とはいえ、ギタウがCTBに入った2試合ではいずれも60点台を叩き出し、日野戦では今季の最多得点を記録した。対戦相手によってその組み合わせを変えていくが、より得点、BPが求められる中盤戦以降はスキルを重視した「12番ギタウ」が重要なオプションの1つになり得ることを証明した。