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猛攻サントリーと「12番ギタウ」。
SO田村熙との良好な関係性とは。
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byKyodo News
posted2020/02/26 11:40
日野戦では2トライをマークしたマット・ギタウ。178cmと小柄ながらあらゆるBKのポジションをこなす器用さで、ワラビーズでも主力として活躍した。
10番田村「感覚は似ている」。
SOの田村は言う。
「試合前も試合中もコミュニケーションをとっていますが、それ以上に感覚が似ていてやりやすいと思う部分は多い。ケレビのようなボールキャリアが持ち味の選手は打開したい気持ちが大きいと思いますが、試合展開、時間帯によって他の選手を生かせる(ギタウのような)選手が横にいるのは10番として心強い。
(ケレビかギタウかは)どちらもオーストラリア代表なのでとても贅沢な話(笑)。特徴が違うのでどちらがいいとかはないですし、亮土さんが出た神戸製鋼戦もいい試合ができた。誰がというよりは、チームとしてやることがクリアになっていることが大きい」
一方で「オプションが絞りづらかった」とは敗戦した日野の主将・村田毅の弁だ。中鶴のトライシーンを振り返れば、ギタウと田村の関係性でチャンスメークしていたことがわかる。
1本目は前半11分。ハーフウェー付近から10番田村と12番ギタウがパス交換で相手を引きつけた。DFラインにギャップができたことを確認した中鶴は、そこを縫うように独走。トライを獲るのが本業のランナーに“道”を提示できれば、お役御免だろう。
2本目はその5分後の前半16分。敵陣でフェーズを重ねると、勝負所と見定めたSH流が右へ展開。ボールを渡したのは田村ではなくギタウだ。2人は瞬時に位置を入れ替えたことで相手を錯乱させ、回り込んだ田村、FB尾崎晟也と繋がり、最後は余裕を持って大外の中鶴へボールが渡った。
「2番目の10番としてのサポート」
「熙と流はすごくいいコンビだったので、その2人をサポートするのが役割だった。(12番→10番と入れ替える場面もあったが)お互いどちらが入っても問題ない。10番をサポートするために『2番目の10番』ということでやっている。熙のプレッシャーが取れれば一番いいと思ったので」(ギタウ)
FWを操る9番、BKを司る10番。特異なサインプレーではなく、個々の間合いを引き出すことで威力を発揮するサントリーラグビーにおいて、ハーフ団は生命線だ。そこにコントロール術に長ける12番が並んだことでより主導権を握ることができた。
ケレビや中村らとはまた違った嫌らしさが、そこにはある。