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ネルシーニョ魔術健在のレイソル。
強烈な前線で2011年の栄光、再び。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byGetty Images
posted2020/02/26 11:30
Jリーグは3月中旬までの公式戦延期が決まった。過密日程になることが予想されるが、レイソルはこの期間でさらにチームを熟成させてくるか。
江坂が絡んだカウンターの威力。
そして、怪物2人を凌駕するパフォーマンスを見せたのが、エースナンバーを背負う江坂任だった。
13分に鋭いドリブルで敵陣を切り裂いて先制点を奪うと、20分には絶妙なフィードをライン裏へと落とし、オルンガのゴールをお膳立て。58分にはカウンターからの連動でダメ押しゴールを奪い、3ゴールに絡む活躍ぶりだった。
得点シーン以外にも多くのチャンスはこの10番をきっかけに生み出され、時間を創出するキープ力も光った。時に自陣に戻ってボールを奪い取る守備の貢献度も高く、攻守両面において輝きを放っていた。
「守備が上手くはまって、ミカ(オルンガ)とクリスの3人で崩せた。いいカウンターを出せたかなと思います。自分たちの攻撃に手応えを感じています」
江坂が言うようにカウンターから3人で完結できるのが、この日の柏の強みだった。フィニッシュ精度がより高ければ、さらなる大量得点も可能だっただろう。
前線カルテットとネルシーニョ采配。
この3人の陰に隠れる形となったが、新加入の神谷優太も瀬川祐輔の負傷で急遽ピッチに立ったが、能力の高さを垣間見せていた。
技術、スピード、パワーと、それぞれが異なる特長を備えた前線のカルテットは、札幌にとって厄介この上なかったはずだ。個の力に加え、連動性も備わったその攻撃力は、J1でも屈指の破壊力を秘めていることは間違いない。
ただし、その強烈な個性が組織として機能できたのもネルシーニョ監督のマネジメント能力があったからに他ならない。
柏に多くのタイトルをもたらしたブラジル出身の名将は、昨季、J2での戦いを強いられた古巣で再登板。分析力に優れた戦略家であり、選手のやる気を高めるモチベーターでもある指揮官は、長丁場のシーズンで着実にチーム力を高め、1年でチームをJ1に復帰させている。