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ネルシーニョ魔術健在のレイソル。
強烈な前線で2011年の栄光、再び。
posted2020/02/26 11:30
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph by
Getty Images
2年ぶりに戻ってきたJ1の舞台で、黄色のユニホームが躍動した。
春一番の強風をも味方につけた柏レイソルが、3年目を迎えたミハイロ・ペトロヴィッチ体制下で成熟の域に達する北海道コンサドーレ札幌を、問答無用に一蹴した。
圧倒的な強さを示し、昨季のJ2を制した柏にとって、J1は本来いるべき場所である。札幌をホームに迎えた今季の開幕戦。たとえ1年のブランクがあっても、彼らに臆するところはまるで見られなかった。立ち上がりから果敢に前への意識を示し、札幌ゴールへと襲い掛かっていく。
強烈なオルンガとクリスティアーノ。
なかでも強烈なインパクトを放ったのは、“怪物”オルンガだ。
身長193センチのケニア出身のストライカーは、驚異の身体能力と決定力を発揮し、札幌の守備を崩壊させた。長いボールをやすやすと処理し、多少アバウトな裏へのフィードにもあっさりと追いついてしまう。札幌のCBキム・ミンテの対応を無力化させ、前線で自由を謳歌するように振舞った。
20分と65分の得点シーンも鮮烈だった。2点ともに背後へのボールに反応し、飛び出してきたGKを鼻先でかわしてシュートに持ち込んだ形である。
札幌のGKク・ソンユンは、おそらく自身のほうが先にボールにたどり着くと判断したに違いない。
しかし、いずれも届かなかった。
想像を超えるスピードとリーチの長さに、完全に惑わされたのだ。昨季のJ2最終戦で、1人で8ゴールを奪ったのはもはや伝説だが、舞台をJ1に移しても、このストライカーの能力は、規格外というほかないだろう。
もうひとりの“モンスター”、クリスティアーノも右サイドで大暴れした。
強引なまでのドリブルで縦に仕掛け、隙を見せれば間髪入れずに右足を振り抜く。両チーム最多となる9本のシュートを放ちながら自身は得点を奪えなかったものの、2つのゴールをお膳立てし、勝利に大きく貢献している。