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吸引力の変わらないただ1人の選手。
ファビーニョはリバプールに必須。
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/02/18 20:00
最強リバプールに欠かせないファビーニョ。アンカーの位置での巧みなプレーにぜひ注目してほしい。
CL連覇に向けてのキープレーヤー。
そのファビーニョが、CL決勝トーナメントを前に戦線に戻ってきた。約1カ月半の離脱の影響もあり、開幕当初に比べるとコンディションや連係面で不安はある。特にプレミアリーグ第18節のウェストハム戦では不用意なキープから自陣でボールロストしたり、攻撃に転ずる場面でパスミスしたりと、簡単なミスが目立った。
しかしこれは無理もない話だ。何せ自身不在の間も、チームはトップパフォーマンスを維持し続けていたのだから――。
コンディションを戻しながら今のリバプールのサッカーに合わせていくことは容易ではないが、ファビーニョは少しずつ本調子を取り戻している。離脱後から現在に至るまで、基本的にはアンカーをヘンダーソンが代役として担っているが、アンカーへの復帰も時間の問題とみる。
プレミアリーグをほぼ手中に収め、あとはCL2連覇、FAカップとのトレブルを目指すリバプールにとって、ファビーニョは間違いなくキープレーヤーになる。それは彼がリバプールのサッカーにおいて、彼にしか成し得ない3つの役割を果たしているからだ。
あだ名が“ダイソン”の理由。
まず、ひとつ目の大きな役割は「掃除機」である。
ファビーニョの”本業”は中盤での守備だ。モナコ時代からボランチに加え、サイドバックの経験もあるように、ユーティリティー性にも長けている。そんな彼の守備力には、状況によってセンターバックを任せるほどクロップ監督も信頼している。
なんといっても彼の一番の売りはボール奪取だろう。ヘンダーソンやワイナルドゥムも献身的に守備をする選手だが、ファビーニョほどひとりでボールを奪い切ってしまうことはできないし、彼がいることでインサイドハーフの選手も攻撃のサポートに注力できる。
「掃除機」と記したのは、彼がチーム内である“あだ名”を付けられたから。その名も“ダイソン”。そう、イギリス発の掃除機ブランドだ。
「監督が使う前は、ミルナーが僕のことをそう呼んでいたと思う」
ファビーニョはこう話していたことがあるが、クロップにとってはもちろん、チームにとってもボール奪取能力で、“ただひとつ”の選手なのである。