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伊藤ふたば「たくさん吸収したい」
追い続ける女王・野口啓代の背中。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byItaru Chiba
posted2020/02/11 08:00
ボルダリングジャパンカップ決勝、誰もクリアできなかった第3課題を突破し、笑顔を見せる伊藤ふたば。
「たくさん吸収したい」
今回の大会は東京五輪を最後に引退する先駆者と戦う最後のジャパンカップだっただけに、野口を抑えて優勝したことは、大きな自信となっただろう。
「今シーズンの1つひとつの大会が、啓代ちゃんと戦える最後になってしまう。そう考えるとすごく悲しいし、ずっと一緒に出たかったなという思いもあります。ただ、BJCで勝てるのは、今回が最後のチャンスだったので、勝つことができたのはすごくうれしいです。少しずつでも、(野口に)近づいてこられているんじゃないかなって。
啓代ちゃんと練習できる機会も限られていますし、1回1回の練習を大切にしたい。吸収できる部分はたくさん吸収したいと思っています」
姉のように慕う野口とともに東京五輪に出場することは大きな目標でもある。
現在、東京五輪代表選考をめぐって国際連盟と日本協会が係争中で、先が不透明な状態。ただ、選手としては静観することしかできない。来るべき日のために、伊藤は「しっかりと調整していきたい」と前を向いていた。