昨季の敗戦で「戦う集団」に。

「今年こそは」と臨んだ昨シーズンは、ファイナル進出をかけたファイナル3で、ゴールデンセットの末に東レアローズに惜敗。その敗戦が、選手たちを完全に戦う集団へと変えた。主将の小幡真子は言う。

「昨年のファイナル3の悔しい負け方というのをずっと心の片隅に置いて、1年間過ごしてきました。どんなにいい試合をしても、常に自分の頭の中にはあの試合があって、『もうあんな思いはしたくない』と、そういう覚悟を持って臨んだシーズンでした」

　吉原は毎年、「私はいつも『1番になりたい』と思っていますが、私が思っていても、選手が本気で思っていなかったら絶対に1番は獲れない。『優勝できたらいいな』では、優勝はできないんです」と話していた。

吉原も実感したチームの変化。

　監督就任5年目の今シーズン、選手たちは本気だった。シーズン開幕前、ミドルブロッカーの芥川愛加はこう語っていた。

「あと一歩が届かないシーズンが続いてきた。今シーズンは『絶対獲りたい』という思いが、本当にみんな強いです」

　2年前にファイナルの舞台に立った経験と、昨季の悔しさを経て選手に宿った勝利への渇望が、栄冠を引き寄せた。

　吉原は選手たちの変化をこのように語る。

「例えば誰かと誰かの間にボールが落ちたり、コンビが合わなかったりした時に、人に矢印が行くと、なかなかチームとしてうまく進まない部分があるんですが、そういう、人としての成長も、選手たちに要求してきました。ロボットがやっているわけではないので、心が変わればプレーも変わるよね、とずっと言い続けてきて、少しそういう部分も理解してもらえるようになったのかなと思います」

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