理想のバレーに「少し近づけた」

　そこでJTは今季、昨季のアタック決定本数1位のミハイロビッチではなく、サウスポーで速いテンポの攻撃を得意とするアメリカ代表のアンドレア・ドルーズを獲得。ドルーズは、目指すかたちにフィットした。

　ファイナルの後、吉原はこう語った。

「全員が拾って全員が打つ、ということを目指してやってきましたが、昨季とその前の年は、どうしてもリズムを、やりたいバレーのリズムに持っていけなかった。でも今季は、本当にやりたかった、数的優位を作れるバレー、全員が攻撃できて、バックアタックもあり、速攻もあり、サイドも遅くない、テンポのいいバレーというものに、少し近づけたのかなという感じはしています」

　理想を曲げず、監督としても、期待された「優勝請負人」の役割を果たした。

「選手の時より監督の方がしんどいです。人を動かさなきゃいけないって、大変なんだなと本当に感じました」と苦笑したが、吉原監督が突き動かし、やがて自ら走り出した選手たちが、堂々と頂点をつかんだ。