「彼と試合後話しましたけど」

　もう少し全体の守備ラインを押し上げ、高い位置でボールを奪うことができていれば、久保のスピードと突破力を生かしたショートカウンターからチャンスを作ることができたかもしれない。

　だが、さすがの彼でも自陣でDFを背負った状態でボールを受け、2、3人のマークに囲まれた孤立無援の状況でできることは多くなかった。

　結局、後半は早々に失点を喫したこともあり、すぐにいつもの右サイドにポジションを変更。引き続き2、3人に囲まれながらもサイドからのチャンスメイクを試みたが、それが実ったのは終盤にフェバスが1点を返したシーンくらいのものだった。

「彼とも試合後話しましたけど、中1日でメンバーもほぼ変わっている中で、かわいそうっていうか。なかなかいいところでボールをもらえてなかったので、非常に苦しそうというか、厳しいメンバーの中でやっていたと思う」

　試合後、久保の印象を問われた香川のコメントである。

　これまでサイドでの起用が続いてきた久保にとって、この試合は「自身のベストポジション」と公言するメディアプンタ（セカンドトップ、トップ下）でのプレーがようやく叶った一戦だった。それだけに、もう少しいい条件下でプレーできなかったことが残念だ。

香川は復調を示す好パフォーマンス。

　対照的に、好条件に恵まれた香川は一時の不調を払拭するパフォーマンスで勝利の立役者の1人となった。

　中1日の強行日程を強いられたマジョルカとは裏腹に、サラゴサは3日前に予定されていたリーグ戦が豪雨で延期となる幸運に恵まれた。そうでなくとも試合は本拠地ラ・ロマレダでの一発勝負である。

　さらにチームは年明け以降、3戦3勝（リーガ2勝、コパ1勝）と上り調子で、1試合未消化ながら自動昇格枠の2位カディスと勝ち点6差の4位につけていた。この点も降格圏に沈むマジョルカとは対照的だと言えた。

　ビクトル・フェルナンデス監督はこの日、数人のキーマンを温存する最小限のローテーション布陣で臨んだのだが、これも香川にとっては好都合だった。

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