炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ、春の注目はポスト会沢争い。
坂倉将吾「やっぱり捕手で出たい」
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/01/30 11:40
「左の代打の1番手」として重宝される広島・坂倉将吾。プロ4年目、捕手としての出場機会を狙う。
坂倉の根底にある「劣等感」。
周囲がライバル視する中村奨や新人の石原貴とは一線を引く。ライバル心というよりも、特別視していないように感じる。意識するのは、広島の正捕手・会沢だ。
「そこを見ないと追いつけなくなっちゃうので。追いつけ追い越せというくらいでやらないといけないと思っている」
高みを目指すからこそ、しっかりと足元を見つめないといけない。
根底には劣等感がある。名門・日大三高の正捕手で中軸を担いながら、優等生ではなかったプロまでのプロセスが、坂倉を貪欲にさせた。
「僕は目立たない選手だった。小、中、高と“地域では”とか“東京では”というレベルで名前が知られていた程度。JAPANにも無縁だったし……。だからプロでは(アマチュア時代から)有名な選手よりも早く、早く上がりたいという思いが強かった」
今春、周囲は新しい捕手陣に目を向けるかもしれないが、注目されなかった経験はこれまで何度も味わってきた。今年注目を集めるのは、捕手としてマスクをかぶったときでいい。
どこの世界でも常の「競争」は、人とするものではなく、自分とするもの。競争を勝ち抜くために必要なものは、自分自身と向き合うことかもしれない。
27日、一足早くキャンプ地日南入りした坂倉は2月1日、また新たな自分自身との戦いに挑んでいく。