炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ、春の注目はポスト会沢争い。
坂倉将吾「やっぱり捕手で出たい」
posted2020/01/30 11:40
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Hideki Sugiyama
新年の幕開けから1カ月が過ぎようとしている。プロ野球選手の正月ともいえる2月1日キャンプインまで、もうすぐ。球春がいよいよ幕を開ける。
王座奪還を目指す広島の春季キャンプメンバーが発表された。チーム作りが本格化していく前に、選手個々の競争が繰り広げられる。広島の注目は、異例ともいえる5人体制でスタートさせる捕手争い。正捕手・会沢翼に次ぐ2番手確立がテーマに掲げられる。
首脳陣に打力を高く評価されている磯村嘉孝は二軍スタートとなり、ドラフト5位の石原貴規(天理大)に、高卒3年目の中村奨成が初めて一軍スタートとなった。今春の広島キャンプでは「ポスト会沢争い」がひとつの注目点となりそうだ。
新顔そろう捕手陣の中で、2番手最有力候補は、高卒4年目の坂倉将吾だろう。昨年51試合に出場した。
1年目の2017年に広島では鈴木誠也以来となる高卒新人野手として一軍出場を果たし、同年9月30日DeNA戦ではプロ初安打を記録した。広島の高卒新人捕手としては1965年の衣笠祥雄氏以来2人目の記録だった。
「やっぱり捕手として出たい」
昨年は出場試合数を前年の9試合から一気に51試合に伸ばし、飛躍のシーズンとなったと捉えることもできる。ただ、本人にとっては悔しさが募ったシーズンだった。
仕事場は主にバッターボックス。持ち前の打力を生かして左の代打の1番手として起用され、スタメン4試合は挑戦したばかりの外野での出場だった。本職の捕手では1度もスタメン出場はなく、途中からマスクをかぶった試合もたった3度。アピールしようと、外野で先発出場して途中交代すれば、プロテクターをつけてブルペンで球を受けたが、当時の一軍バッテリーコーチから捕手としての信頼を得られなかった。
出場数を増やしたシーズンで思ったことは「やっぱり捕手として出たい」。捕手としてのこだわりをあらためて感じた1年。年下の野手が多かった秋季キャンプでも、坂倉は自分自身と向き合った。長所だけでなく、短所からも目をそらさなかった。