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松田瑞生「これでダメならやめよう」
大阪国際を制した目標設定と猛練習。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byKYODO

posted2020/01/27 11:50

松田瑞生「これでダメならやめよう」大阪国際を制した目標設定と猛練習。<Number Web> photograph by KYODO

大阪国際女子マラソンで日本陸連の設定記録を突破する2時間21分47秒で優勝した松田瑞生。

「ペースダウンしていて、やばいと思ったので」

 24キロ過ぎ、先頭集団は松田とバーレーンのミミ・ベレテの2人のみとなる。

 31キロ過ぎ、松田がスパート。

「ペースダウンしていて、やばいと思ったので」(松田)

 差を徐々に広げていくと、最後は独走となった。

 さすがに後半は疲れたか、ペースは落ちたが、タイムは2時間21分47秒、自己記録2時間22分23秒を大幅に更新するタイムで設定記録を大きく上回り、優勝を遂げた。

ペースが想定より速かった。

 レースの綾となったのは、スタートからのペースが想定より速かったことだろう。

 レース前に計画されていたのは5キロあたり16分40~45秒あたり。

 ところが最初の1キロを3分18秒で入ると、5キロは16分36秒、5キロから10キロは16分31秒と予定以上のペースとなる。

 その後も快調なペースに、25キロ時点でも2時間19分台の優勝タイムが予想されるほどだった。

 それだけの高速レースであっても、五輪代表を狙う選手たちは先頭集団についていかないわけにはいかない。

 粘りを身上とし、自己記録は2時間23分20秒の小原にとって、そして4年前に2時間22分17秒を出している福士にとっても、厳しいペースだっただろう。

 裏返せば、それは松田のこの日の強さの証明でもある。

「『新谷さん、ちょっと速い!』と思いました」

 走りながらそう感じつつも、苦しまずに走れたのは、目標としていたのが2時間22分22秒を切ることではなかったからだ。

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