熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
リオ金メダルのブラジルから学ぶ、
五輪サッカーで結果より大事なこと。
posted2020/01/28 11:50
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Shinya Mano/JMPA
日本サッカー協会の田嶋幸三会長が「メダルを狙いにいく」と語れば、慎重居士の森保一監督も「金メダルを目指す」と宣言する――。東京五輪が半年後に迫り、国民の期待も高まる状況で、ベストメンバーにはほど遠いとはいえ、U-23日本代表がU-23アジア選手権でまさかのグループステージ(GS)敗退。監督、協会への批判が渦巻いている。
自国開催の五輪で好成績を狙うのは、当然のことだ。
しかし、五輪で良い結果を残せたら、その先には何が待っているのか。すべてがバラ色なのか――。
これらを考察する前提として、世界のフットボールにおける五輪の位置づけを確認しておきたい。
開催国でない限り強豪国は……。
フットボールで最も重要な大会は、言うまでもなくワールドカップ(W杯)。その前段階として、各大陸におけるW杯予選がある。W杯とその予選では、クラブは招集された選手を供出する義務があり、各国代表は故障者を除き、ベストメンバーを組むことができる。
これとは別に、各大陸選手権がある。この大会には、クラブは各国協会が望む選手を提供する義務はない。とはいえ、各国のプライドがかかる大会であり、実際にはほとんどの国がクラブの了承を取り付け、ベストに近い陣容で参加する。
年齢別の世界大会としては、U-17W杯とU-20W杯がある。五輪はU-23の選手にオーバーエージ3人を加えた大会であり、基本的には年齢別の世界大会である。
クラブは、年齢別の大会に各国協会が望む選手を供出する義務はない。このため、開催国を除くと、五輪とその予選にベストメンバーで臨める国は少ない。
しかも、近年の五輪出場国16の大陸別の内訳は、欧州4、アジアとアフリカが各3、南米と北中米が各2、オセアニアと開催国が各1。フットボールが歴史的に盛んな地域である欧州と南米の出場枠が少なく、その他の地域への出場枠が多めになっている。
このような状況で、開催国でない限り、世界の強豪国は五輪への準備にW杯と同等の熱意を傾けることはない。