球道雑記BACK NUMBER
恩師が語るロッテ種市篤暉の秘話。
やんちゃ坊主が勉強も1番になった。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2020/01/25 11:40
昨シーズンはチーム最多となる8勝を挙げた種市。新シーズンはエース涌井が背負っていた背番号「16」を引き継ぎ、さらなる飛躍を誓う。
学校のみんなが祝福していた。
「個人的にも嬉しかったですし、学校のみんなが本当に喜んでくれたのが嬉しかったですね。彼は野球センスも抜群ですけど、人としてもみんなから本当に好かれているんですよ。これは嘘偽りない本音です。普段は控えめな性格ですし、けっして調子に乗るわけでもない。学校のクラスでもいるかいないか分からないくらいなヤツです。勉強も入学当初は大したことなかったんですけど、卒業するときはクラスの1番で出ていきました。
中学まではやんちゃと言ってもおかしくないくらいの坊主でした。やんちゃ、やんちゃで超やんちゃです。それが高校に入ってから、野球も勉強も1番で卒業したものだから、学校のみんなが彼を心の底から祝福しました。だからドラフト当日も野球部と関係ない奴が学校にいっぱい残っていました。野球部の生徒はもちろんいるんですけど、同じ学年の全然関係ない生徒まで一緒になってね。ふだんはドラフトとか全然縁のない学校ですからそれはもう凄い騒ぎでしたよ」
種市は、まさに学校の希望の星だった。
種市に受け継がれる長谷川の意思。
長谷川監督は、種市や教え子たちにある言葉をいつも言い続けてきた。
「夢は力なり」
「夢があるから頑張れるんだ」
いつか種市も、自身の座右の銘について聞くと、こんなことも言っていた。
「意志あるところに道は通ずる。目標は常に持つ。ですかね」
「夢」を「目標」という言葉に変え、自分の言葉にしている辺りに「守破離」の意味も感じる。
長谷川監督の意思は、彼にしっかり受け継がれている気がした。