“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
静岡学園・田邉秀斗の機転と洞察力。
エース松村優太を生かした2年生。
posted2020/01/17 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
24年ぶりに全国高校サッカー選手権優勝を果たした静岡学園。
ドリブルとパスの応酬で観客を魅了した「静学スタイル」の中で、川口修監督が教え込んだ「磨いた技術を使うために必要な、相手と戦況を見る目」を磨き上げ、無名の存在からJリーグのスカウトに注目される存在にまで駆け上がってきた選手がいた。
静学の右サイドバック、2年生・田邉秀斗だ。
昨年途中から出番を掴み、昨年5月には「将来的にCBをやるためにプレーの幅を広げさせたい」との川口監督の意向で、サイドバックへコンバートされた。
当初は左サイドバックとして、スピードはさることながら、ボール奪取力の高さ、180cmのサイズを生かした空中戦の強さを発揮。選手権予選前に右サイドバックへポジションを移すと、今度はその持ち前のスピードを、右サイドハーフを務めるドリブラー松村優太の“高速サポート”という新たな役割に昇華させた。
エースを支える重要な役割を担った田邉は、次第にチームにとって必要不可欠な存在となっていった。
松村優太「頼もしい後輩」
「あの松村さんのスピードについていけるサイドバックは僕しかいないとも思っている。そこは自信を持っています」(田邉)
今大会でもスピード、高さ、ドリブルの技術に加え、頭の良さも発揮。右サイドバックとして松村のサポートと、攻守において質の高いプレーを存分に見せつけた。
苦戦した準決勝・矢板中央戦では後半途中から左サイドバックでプレー。得意の右足のアウトサイドでの持ち出しから何度もサイドをえぐった。
「僕に追いつけるサイドバックはあいつだけだと思うので、ポジショニングとサポートで自分もかなり助けてもらったし、自分が攻撃に集中できているのも田邉がいたからこそ。そこは頼もしい後輩です」
静学の10番を背負う松村も認めるほどの活躍ぶりだった。