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優勝を確信したのは残り0.8秒──。
天皇杯、SR渋谷の壮絶な全員バスケ。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2020/01/14 20:00

優勝を確信したのは残り0.8秒──。天皇杯、SR渋谷の壮絶な全員バスケ。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

チャールズ・ジャクソンとどちらを起用するか伊佐HCも迷ったそうだが、期待に応えて活躍したセバスチャン・サイズ(2番)。

アシスタントコーチの意見は分かれた。

 もう1人の候補が、スピードがありCもPFもこなせるセバスチャン・サイズ。

 昨年10月26日の川崎との対戦では彼とケリーが一緒にプレーして敗れていた。また決勝に出場する可能性を見越して24分20秒の出場に「制限」していたものの、前日の準決勝でプレーした疲労もある。

 一方で、川崎のジョーダン・ヒースのマークをするにはサイズが最適だという考えもあった。ヒースはPFながら、リーグ戦で3Pを、リーグ記録を大きく更新する数字となる52.3%の高確率で決めている。彼がインサイドにいるときにも、アウトサイドに出たときでも、上手く守れる「脚力」が必要だった。

 どちらを起用すべきか。

 コーチミーティングでACたちに意見を求めると、推す選手が2対1で分かれた。

 ただ、多数決をするつもりはなく、伊佐HCがACたちに求めたのはその選手を起用したときのメリットとデメリットについての意見だった。

 最後に決断する権利も、決断の責任も、HCにある。

「ジャクソンには申し訳ないけど、サイズで行こう!」

 後になってみれば、この決断が優勝を決める要因の1つとなった。

同点シュートが5本、逆転シュートが7本も。

 川崎との決勝戦は、どちらに転んでもおかしくないシーソーゲームとなった。

 78-73という結果から感じられる以上に拮抗した内容で、同点のシュートが5本、逆転のシュートが7本も記録された。

 そんな試合で渋谷の攻守のキーとなったシーンをそれぞれ1つずつ見ていく。
 
 まずは、「攻撃」について。前半の最後の攻撃が、象徴的だった。

 残り36.1秒。2点を追う渋谷の攻撃はタイムアウトあけからスタートした。

 まず、川崎がマンツーマンディフェンスからゾーンディフェンスに切り替えてきた。これに上手く対応できずに、24秒のシュートクロックが残り4秒ほど(第2Qの残り時間は約15.6秒)で盛實海翔がどうにか3Pシュートを打った。

【次ページ】 リーグ最多のオフェンスリバウンド。

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