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五輪世代のヤンチャ坊主・邦本宜裕。
復活を支えた韓国のヤンキー先生。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2020/01/15 11:50
日本でかなりヤンチャだった邦本宜裕。元慶南FC監督のキム・ジョンブ氏のもとでチームのエースにまで育った。
韓国最強クラブへの移籍を果たす。
そんな邦本の今回の移籍は、日本人Kリーガーの軌跡としては、2013年にFCソウルでACL準優勝を果たしたエスクデロ競飛王(現栃木SC)と並ぶインパクトだ。
それほどに、Kリーグで全北に請われたということは大いなる栄誉だ。
リーグ戦で3連覇中。ここ10年を見渡してもすべて3位以上で、優勝回数はじつに7度にもなる。またACLにもここ10年で8度出場、優勝、準優勝がそれぞれ1回ずつで、グループリーグ敗退も一度しかない。HYUNDAI自動車のバックアップを受け、「もはやKリーグからアジア制覇の可能性があるのは全北しかない」と言われるほどだ。
「甘えられない状況に身を置いた」
邦本は福岡退団後の2018年1月にブランクを経て慶南にテスト入団。Kリーグ1部に昇格したばかりのチームの2位への躍進を支えた。2年のプレーを経ての今回の移籍について、韓国メディア「ハンギョレ新聞」はこんな評価を下している。
“ピッチのやり手、全北現代へ”
キラーパスの出し手、という表現もあった。クラブ側はプレスリリースでこんな期待を表している。
「キム・ボギョンとともに最強の攻撃的MFを構成する。クラブの伝統カラーである攻撃サッカーにプラス効果を与える存在」
キム・ボギョンとは、昨季柏レイソルからレンタルで蔚山現代に移籍、シーズンMVPを獲得したMFだ。それと肩を並べる存在、として紹介されたのだ。
ちなみに本人は東京五輪世代でもあるが、昨年4月の時点では「日本代表はすべてのサッカー選手の目標。でも今は、頑張っている姿をまずは見てもらうことから」と口にしていた。
ではなぜ、邦本が韓国で再生を果たせたのか。本人は昨年4月の鹿島とのACLの試合時に「家族の支え」と合わせ、次の要素を挙げた。
「甘えられない状況に身を置いたことが、よかったんです」