JリーグPRESSBACK NUMBER
イップス、衝突、安英学の助言。
マリノスGK朴一圭「勝負は2年目」
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byKim Myung Wook
posted2020/01/22 20:00
シーズン終了後、インタビューに応じた朴。松永コーチの指導のもと成長を続けたGKは、マリノス優勝に大きく貢献した。
チームのために憎まれ役に徹した。
朴のプロ意識の高さを知れるエピソードがある。
J3というカテゴリーには様々な選手がいる。現状に甘んじるか、より上を目指すのか、選手のマインドは人それぞれだが、総じて「“物足りない”と感じることも多かった」と朴は正直に話す。
特にFC琉球にいた3年目は、自らキャプテンになることを志願した。「自分がキャプテンになればチームをJ3優勝に導く自信がある」と。周囲からすれば「何を生意気な」と映ったかもしれない。
朴はチームのために憎まれ役に徹した。当時、チームには日本代表経験もあるFW播戸竜二が所属し、時にチームメイトの要求を「パギ、お前いいすぎやぞ」と言われることもあった。それでも朴はチームへの思いから、遠慮をしたり、自分の姿勢を変えることはなかった。
「最後は播戸さんも自分の気持ちを分かってくれ、『J3ではそれ
その姿勢がチームメイトにもしっかりと伝わったのかもしれない。キャプテンを務めてJ3優勝という結果を残し、朴は2019年にマリノスへと移籍する。
ヨンハさんが背中を押してくれた。
「このとき他クラブからも熱心にオファーをもらっていて、ほぼ心の中では決めていたんです。自分のプレースタイルにもきっと合うという確信もありましたから。そしたら、マリノスからもオファーをいただいて……。マリノスには絶対的な存在として飯倉(大樹)さんがいたので、試合には出られないだろうと思っていました。自分はこれまで試合に出て実力を上げてきたので、ものすごく迷いました」
そこでアドバイスをくれたのがJリーグでプレーした在日コリアンの大先輩でもある安英学(アン・ヨンハ)だった。
「ヨンハさんに『パギはどうサッカー人生を歩みたいのか。なぜサッカーをしているのか』と聞かれたんです。僕は昔から『在日の子どもたちのために夢とか希望とか与えたくてサッカーをやっています』と。そしたら『J1はなかなか行けない舞台で、なおかつ名門のマリノスは誰もが入れるチームじゃない。試合に出られるか分からないけれども、子どもたちは練習している姿を見るだけでもがんばっているお前を見てすごく力になるし、夢を与えることなんだよ』って言ってくれました。それを聞いてハッとしました」