プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
獣神サンダー・ライガー涙なしの引退。
「猪木の家」に30年以上住みついた男。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2020/01/11 11:30
プロレス史に刻み込まれた獣神サンダー・ライガー。現役引退後も、プロレス界の御意見番としてますますの活躍を期待したい!
「新日の未来は明るいなと」
ライガーとつながりのあるメキシコに“銀色の仮面伝説”と呼ばれた聖者エル・サントというレスラーがいた。国民的な英雄サントは64歳まで現役で戦ったが、66歳で死去すると銀色のマスクを着けてフル・コスチュームのまま埋葬された。
人はいつか時が来たら死を迎える。1989年のライガー誕生前にヤマダは死んだことになっている。だから、ずっと先のことだろうが、ライガーも獣神のマスクを着けたまま死を迎えるのだろう。
「ボクの中では凄く満足していますね。引退はしんみりした内容にはしたくないと言ってきましたから、そういうしんみり感はなかったと思いますし、真正面から、ぶつかっていって粉々に砕かれた。これでもう悔いはないでしょう。叩き潰されて、ヒロム選手が『ボクがこの新日ジュニアをもっと大きくします』と言ってくれたので」
最後の掌底打ちをヒロムに叩き込むことはできたが、若い力に見事に粉砕されてライガーは満足だった。
「彼らの試合、ヒロムとかリュウ・リーの試合を見て、本当にいつか死ぬぞと、ボクは思っています。そういった意味でひと昔前の新日ジュニアと、今、新日ジュニアの最前線を走っている2人。新旧のジュニア対決。これからの新日を占う試合だったんじゃないかと思います。
そして、新日の未来は明るいなと。これからはテレビの解説席から試合を見て『すげえ!』とプロレスファンに戻って叫んでいたいと思います。ケガをしないことを願っています。それから天国にいる橋本真也選手に、オレもレスラー生活終わったよって言いたいですね」
最後にタッグを組んだ佐野も、ライバルのライガーの引退に影響されたように、7日に引退を発表した。