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突然の騎乗で金杯制覇のデムーロ。
「コウセイが心配です」の気遣い。
posted2020/01/10 07:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
1月5日、例年通り中山競馬場と京都競馬場でJRAの競馬が開幕した。初日のメインレースはこれもお馴染みの金杯。京都では芝1600メートルの京都金杯(GIII)が行われ、松山弘平騎手にいざなわれて好位を追走した牝馬サウンドキアラ(牝5歳、栗東・安達昭夫厩舎)が早目先頭から押し切った。
一方、中山では芝2000メートルの中山金杯(GIII)が行われ、トリオンフ(騙6歳、栗東・須貝尚介厩舎)が先行策からしぶとく粘り、一昨年の小倉記念(GIII)以来となる自身重賞3勝目をマークした。
さて、このトリオンフ、直前に走ったチャレンジC(GIII、阪神競馬場、芝2000メートル)では逃げて2着。最後にアタマ差だけ差されたが、一度は2番手以下を突き放し、負けて強しといえる惜敗だった。しかもそのレースが約1年4カ月ぶりの実戦で馬体重はプラス18キロの550キロ。デビュー以来、自身、最高となる重さだった。
それでいて上々の走りを見せたのだから、ひと叩きされたこの中山金杯は好勝負必至と予想された。もっとも、今回は前走比プラス2キロとなるトップハンデの58キロを背負わされた上、叩かれて絞れてくるかと思われた体重はまたもプラス。4キロ増の554キロと過去の最高体重を更新した事もあり、クレッシェンドラヴに続く2番人気の支持に甘んじた。
三浦皇成の負傷でデムーロが。
更に当日、思わぬアクシデントがトリオンフ陣営に降り注いだ。騎乗を予定していた三浦皇成騎手がこの日の第7レース、4歳以上1勝クラスのレースで他馬の落馬事故に巻き込まれる形でターフに叩きつけられた。これにより戦線離脱を余儀なくされ、鞍上は急きょ乗り替わりとなったのだ。
ここで白羽の矢が立てられたのが、ミルコ・デムーロ騎手だった。
当日はテンションが高めになりがちのトリオンフだが、そこは厩舎サイドがパドックではジョッキーに跨らせないなど差配をすると、馬場に出た後はデムーロ騎手がテン乗りとは思わないほどの好騎乗を披露する。