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大迫勇也とブレーメンは大丈夫か。
EL狙いが一転、悪夢の残留争い。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/01/08 11:50
苦しむブレーメンを救えるか。2020年の大迫勇也はまずそのタスクに挑むことになる。
現実を受け止める必要があるのでは。
マインツ戦後、MFビッテンコートはミックスゾーンで地元記者に囲まれながら必死で言葉を探し、こう絞り出した。
「何もなかった。何もかもがダメだった。残留争いのライバル相手に今日のようなパフォーマンスはありえない」
心のどこかで「こんなもんじゃない」と思いたがっていたのかもしれない。だが本当は「いま、自分たちは良くない」という現実を受け止め、覚悟を決める必要があったのではないか。
「遅くとも0-1で負けたパーダーボルン戦後に、自分たちがどこにいるか分かったはずだ。決断を見つけ出さなきゃいけない」(ビッテンコート)
今は、がむしゃらに戦い、できることを少しずつ積み重ねていかなければならない。パーダーボルン、マインツ、ケルン。対戦した残留争いのライバルチームが見せた姿勢を見習わなければならない。
監督は闘争心を失っていない。
「勝ち点を手にするために、全選手が全力で戦い、全精力を注ぐんだ。ブンデスリーガのクラブで、サッカー的な要素だけで勝てるチームは、たぶんバイエルンだけだろう。あとのクラブはどこも“走って、戦って”ができないと話にならない。常にインテンシティ高く戦わないと……。確かに、負傷者が多いというのはある。だけど、それを言い訳にしたらダメだ。
今日は最悪だった。本当に最悪だった。でも、まだ試合は残っている。自分たちの手に残っている。サッカーでいいことのひとつは、今日こうやって完敗したけど、次の試合で必ず取り返すチャンスが来ることだ」(ビッテンコート)
監督のコーフェルトも闘争心を失っていない。
「多くのファンが辞めるのではなく、続けるように話してくれたんだ。だから私はそうしたいと思う。逃げるつもりはない。もちろん『このままで大丈夫。このままやっていこう』というわけにはいかないし、それはありえない。自分の持つすべてをかけて戦っていくつもりだ。チームをまた正しい方向に導くために」