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谷口徹、藤田寛之、片山晋呉。
第一線でもがくベテランの生き方。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byGetty Images

posted2019/12/27 07:00

谷口徹、藤田寛之、片山晋呉。第一線でもがくベテランの生き方。<Number Web> photograph by Getty Images

日立3ツアーズ選手権ではPGAツアーの一員として若手たちと争った谷口徹。

新しいスタイルを模索した46歳片山。

 2008年に25勝目を挙げて(通算31勝)永久シード権を持つ片山は、直近2年で優勝がなかったが、賞金ランク30位で'19年を終えた。

 高校&大学の同級生である宮本勝昌と試合で同じ組になると、互いの近況報告からラウンドが始まるらしい。「最近はまず、『親は元気か』だね。そこからだよ。15歳の頃から30年、一緒にやってきたから。もうそれが普通」

 表向きはいつも飄々とコースを歩いているようで、片山は今シーズンのはじめ「今年は予選を通ったり、通らなかったり……というのが精いっぱいだろうと思っていたんだ」という。春先に新しいスイング、簡単に言えば、いまもっとも世界で流行している理論に向き合うことにした。これまで積み上げてきたモノを捨て去るかのように。ネットを漁り、YouTubeに目を凝らし、練習器具を米国から取り寄せて。

 動きが身体にようやく馴染んできたのが秋も深まってきたころ。9月下旬からは連戦でも出場全試合で予選を通過し、優勝争いに顔を出す試合もあった。「『もう、やーめた』になりそうな時は何回もあったよ。でも、『今年はこれをやる』と決めていたから」と、二十数年にわたるキャリアとは、また違うスタイルを模索していた。

プレースタイルも生き様もそれぞれ。

 賞金シードという看板に対しては、谷口、藤田のふたりと、片山とでは少し違うアプローチで向き合っているかもしれない。「もう“満腹”でしょ。22歳でプロになったとき『プロゴルファーでこうなりたい』と思ったことはクリアした」。だが、彼らの長いツアープロ人生を支えてきたのは競技者としての本能やプライドだけでなく、人並みはずれたゴルフへの情熱に違いない。

「昔とまた違ったゴルフができたら、おもしろいじゃない。一番好きなことだからさ。好きなことを飽きさせないためにはどうしたらいいか。だって、好きなんだもん(笑)。友達とゴルフに行くのも好き。ドキドキして、心臓が出ちゃいそうなパッティング…『お願い、入って!……入った!よかった!』っていう時間も好き」

 ゴルフスイングが千差万別なように、プレースタイルも生き様もそれぞれある。次なるシニアというステージが頭にチラつこうが、少なくとも彼らはまだ、これまでの戦いぶりに浸って、ふんぞり返る仕草は見せない。

 周りの評価対象になる明快な結果ではなく、いまも戦い続けていること自体が彼らのプライドである。

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