“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
ファーム二冠の安田は来季も二軍?
ロッテのFA戦略が消化不良な理由。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2019/12/11 08:00
ドラフト1位で入団した(左から)安田、平沢、藤原。FAで獲得した福田を獲得したロッテだが、彼らの奮起にも期待したい。
優勝候補の一角ではあるが……。
福田の加入により、野手の陣容も厚くなった。
捕手・田村龍弘(吉田裕太、柿沼友哉、佐藤都志也)、二塁・中村奨吾(三木亮)、三塁・レアード、遊撃・藤岡裕大(平沢大河)、左翼・福田(角中勝也、清田育宏)、中堅・荻野貴司(岡大海、加藤翔平)、右翼・マーティン(高部瑛斗、藤原恭大)、指名打者・井上晴哉という顔ぶれと、カッコ内に記した控え候補を見れば、ソフトバンク、西武に引けを取らない陣容だとわかる。
井口資仁監督の「優勝をめざす」発言もたびたび聞こえる。私も来季のロッテは優勝候補の一角だと考えているが、唯一不安なのがフロントと井口監督の“即効力”を求める考え方だ。
野手の予想ポジションで1つ空いているのが一塁。ここに今季、19本塁打、82打点を挙げてイースタン・リーグの二冠王になった安田が入るのが私の理想形だが、福田が入団することによって安田のレギュラー定着が怪しくなってきた。
器用な福田を一塁、安田はファーム?
福田は昨年、ソフトバンクで外野64試合、一塁6試合、二塁1試合守っているので、来季は外野での出場が多くなると思うが、このポジションにはベストナインとゴールデン・グラブ賞に輝いた荻野以外にも、角中、マーティン、清田、岡、加藤、藤原に、ドラフト3位入団の安打製造機、高部までいる。
この充実した陣容をフルに起用しようと思えば、ユーティリティプレーヤーの福田を一塁で使って、一軍での実力が未知数の安田をファームに置くという起用法が考えられる。そうすれば次のようなスターティングメンバーが考えられる。
1番 荻野貴司(中堅手)
2番 福田秀平(一塁手)※
3番 中村奨吾(二塁手)
4番 井上晴哉(指名打者)
5番 レアード(三塁手)
6番 角中勝也(左翼手)※
7番 マーティン(右翼手)※
8番 藤岡裕大(遊撃手)※
9番 田村龍弘(捕手)
(注)※印は左打者
ロッテが長年、課題としてきた本塁打不足も、このスタメンなら119本(昨年実績)記録しているので問題はない。
しかし、近年ドラフト会議で、中村奨吾('14年1位)、平沢大河('15年1位)、安田尚憲('17年1位)、藤岡裕大('17年2位)、藤原恭大('18年1位)を上位指名してきたのはソフトバンク、西武などを上回って天下を盗ろうという目的があったからではないのか。