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勝てば残留、負ければプレーオフ。
それでも湘南がピリつかない理由。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2019/12/04 11:40

勝てば残留、負ければプレーオフ。それでも湘南がピリつかない理由。<Number Web> photograph by Getty Images

7月に湘南ベルマーレへ「戻ってきた」山田直輝。残留を決めて、その意味を誇示したい。

湘南にはたのみにする「芯」がある。

 今年の湘南は嵐が吹き荒れた。

 曹貴裁監督のパワハラ問題が長引き、その間、指揮官を失ったチームは自信と活気を失い、どんどん状態が落ちていった。だが、残留争いの勝負どころに来てやっと「自分たちのサッカーをやれば勝てる」という自信が戻ってきた。広島戦は、自分たちのあるべき本来の姿を見せての勝利だった。梅崎も「あるべき方向性は見えている。ラストの松本戦もそれを信じて戦うだけですね」と語る。

 山田も同じ考えだ。

「湘南には芯がある。それがあるというのは助かりますよ。選手はそれをやるだけでいいんで。それをやって負けたら、もう実力負けだと思うしかない。ただ、今はいい雰囲気で来ているので、最後はみんなで笑えるようにしたいです」

最終戦は敵地・松本での試合。

 敵地・松本での最終戦は相手のホームであり、独特の雰囲気での試合になるだろう。松本はすでにJ2降格が決定しているとはいえ、ラストマッチは勝利のために貪欲な気持ちで向かってくるはずだ。そういう相手に勝って残留を決める。

 揺れたシーズンだからこそ、この最終戦は、次の湘南を見据える意味で非常に大きな意味を持つ。

 山田は言う。

「広島戦の勝利は自信になりましたけど、過信にならないようにしないと。そこだけ恐いなって思います。でも、そこに気持ちを入れさせるのが僕の仕事。あとは、どんな状況でも楽しんで、湘南スタイルを出して戦うだけですね」

 松本戦、選手たちは湘南スタイルを貫き、あのすばらしいクラブスローガンをピッチで体現するゲームを見せてくれるはずだ。もちろん、苦しい時間帯もあるだろう。その時は、自分の胸にそのことを問いかけて戦ってほしい。

 たのしめてるか、湘南と――。

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