月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
東スポの「人面魚」に「桜を見る会」。
スポーツ紙はうしろからでも面白い。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2019/12/01 09:00
「桜を見る会」で小走りで移動する安倍首相。国会でのドタバタ模様を各紙はわかりやすく報じていた。
神は東スポに宿る。
実際のところ人面魚とは何か。「かつて品種改良されて人工的に作られた『顔の部分がカブトのように見えるコイの品種』の遺伝子が時々、子孫のコイに発現した結果生まれたもの」というオカルト研究家の解説がさらりと記事にあった。
では今回なぜ中国で?
「珍しい物好きの中国人ならば高額で取引」されたのかもしれないという。なーんだと思うところだが、ここで思い出したのは次のニュースだ。「中国の和牛」である。
昨年、一般紙で「中国の海南島で和牛100頭を見た」という記事があった。
和牛は日本のブランドなので海外で繁殖されているのはおかしい。しかし「いるはずのない和牛が中国で目撃された!」という部分に私は謎の生物感を思い出してドキドキした。
ところがよく読むと和牛の受精卵を不正に輸出した人がいるのでは?という深刻な記事だったのである。
今回の人面魚(風)のコイは正当なビジネスの結果らしいが、中国マネーのおかげで「一般紙の和牛」からも「東スポの人面魚」からも今が見えてくる気がした。どうでもいいネタどころか世相を映している記事なのではないか。神は東スポに宿る。
事件が起きたら「まずスポーツ新聞を」
では夕刊紙(東スポ)ではなく朝刊スポーツ紙の社会面にも目を向けてみる。
私は大きな話題や事件が起きたら「まずスポーツ新聞から読むのがおススメ」と言っている。
大ネタは一般紙では何ページも扱うので、逆にどこから読んでいいのか迷うときがある。その点スポーツ紙の社会面は論点がわかりやすくまとまっているからだ。
消費税率がアップした翌日には『消“ヒィ~”税10%UP』という見出しがあった(サンケイスポーツ・10月2日付)。増税の混乱が見出しだけでわかる。
では今月の社会面でにぎやかだったのは何か?
「桜を見る会」である。
印象的だった見出しをあげてみよう。