ラグビーPRESSBACK NUMBER
田中史朗&田村優のコンビが再結成。
キヤノンで、そして代表での「次」。
posted2019/11/27 20:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
ラグビーW杯の余熱がなおもメディアを賑わすなかで、日本代表選手たちがリスタートをきっている。来年1月開幕のトップリーグに向けて、所属クラブに合流しているのだ。
新天地を求めた選手もいる。今回のW杯で3大会連続の出場を果たした田中史朗だ。2007年から所属したパナソニックワイルドナイツを離れ、キヤノンイーグルスの一員となったのである。
パナソニックはリーグ屈指のタレント集団だ。日本代表のチームメイトでもある稲垣啓太、堀江翔太、福岡堅樹らが名を連ねる。リーグ屈指と言っていい保有戦力を誇るチームで、田中の立場は変わってきていた。スタートからプレーする機会が減っていた。
34歳は自らに問いかける。W杯開幕前の4月に、キャノンへの移籍を表明した。
「パナソニックでプレーしていて、リザーブというのもあって、少し魅力を感じなくなっていたところがありました。(発表のタイミングについては)W杯前に自分のなかに新鮮な空気を入れたい、というのもありました」
途中出場で試合の流れを変えるインパクトプレーヤーの役割は、W杯でも任されていたものだ。「チームに対して貢献できるなら、いまはどちらでもいい」とも話す。だとすれば、「新鮮な空気を入れたい」という言葉に、より重みがあると考えてよさそうだ。
田中史朗、田村優のコンビが完成。
リーグ優勝を射程とするパナソニックと異なり、キヤノンは強豪を追いかける立場だ。W杯前の'18-'19シーズンは、16チーム中12位に終わった。日本代表歴代5位のキャップ数を誇る男の存在は、大きな価値を持ってくる。
「自分の経験をもとに、若い選手に声をかけたりしていきたい。加入1年目で偉そうなことはできないですけど、自分の経験を落とし込んでチームとして強くなるようにしていきたい。チームをひとつにまとめる役割を果たしていきたい」
田中がキヤノンの一員となったことで、魅力的かつ強力なコンビが結成された。キヤノンには田村優がいる。W杯で全5試合に先発したスタンドオフだ。国内屈指の背番号9と背番号10が揃ったのだから、ヘッドコーチのアリスター・クッツェーが声を弾ませるのも分かるだろう。
「9番と10番は決定的な役割を担うフィールド内のコーチです。経験のあるふたりが、ハーフ団を担ってどんなプレーをしてくれるのか。とても楽しみですよ」