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ラグビー界最強の酒販担当営業マン。
中村亮土の勇敢で愚直な仕事っぷり。
posted2019/11/19 20:00
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Getty Images
桜のジャージーからスーツに着替える。ラグビー日本代表の中村亮土は、11月下旬からサントリーの営業マンとして赤坂オフィスに戻る。
「酒販店さんを担当しています。酒販店さんと連動しながら、業務店さんを回ってメニューを変えてもらったりする業務です」
今年は日本代表活動に専念し、自身初のワールドカップで全5試合に出場。不動の主力センターとして、史上初の8強入りに大きく貢献した。
“出向先”で大きな成果を挙げた中村は、社内で大きな歓迎を受けるだろう。日本代表キャップを持つサントリーサンゴリアスの元プロップで、現役社員の池谷陽輔氏がサントリー独自の文化を教えてくれた。
「サントリーでは社員がラグビー部を応援してくれます。取引先の方々にも理解のある方が多く、『明日練習でしょう?』などと声を掛けてくれます。サントリーの先輩たちが築いてきてくれた文化だと思います」
華麗で、愚直だった薩摩隼人。
ワールドカップ後は郷里・鹿児島に帰省し、束の間の休息をとった。ただ周囲の反応は様変わり。行きつけのとんかつ屋で奢られ、立ち寄ったコンビニでも声を掛けられた。
鹿児島実業高校で本格的にラグビーを始めた元サッカー少年は、いまや日本中が顔を知る会社員になっていた。
周囲の反応も無理もないだろう。現代の薩摩隼人は、海外列強を向こうに勇敢だった。華麗であり、愚直だった。