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ファーストタッチにダイレクトパス。
腰痛から復帰の香川真司が劇的変化。
posted2019/11/21 11:10
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
11月16日、ホームで行われたアルバセテ戦。スペイン2部レアル・サラゴサの香川真司は、この日もトップ下として先発した。0-0で迎えた65分だった。
相手チームのGKへの不用意なバックパスが出された瞬間だった。香川は、相手のディフェンスラインとGKの間でこのボールに反応した。トラップはせず、ダイレクトで、左足でシュートを放った。慌てて前に出てきた相手GKは、手も足も延ばしたが届かない。
しかし、狙いすましたシュートは、左のゴールポストの内側にあたり、ゴールはならなかった。
あと10cmほど内側にボールがずれていたら?
香川の歓喜と、そしてほぼ確実にチームの勝利を呼び込めていたはずである。
「我々は大きな罰を受けることに」
そこから先の展開は、香川とサラゴサにとって悪夢のようなものだった。
スコアレスのまま迎えた後半のアディショナルタイムの94分。そこまで枠内シュートがわずか1本だったアルバセテのあたりそこねのシュートが決まって、0-1に。内容だけを見れば、3-0で勝ってもおかしくない試合を落としてしまった。
サラゴサのビクトル・フェルナンデス監督はこう振り返った。
「今日はベストのパフォーマンスを見せ、ホームゲームの中でも最高の試合の1つだったと考えている。しかし、最後に我々は大きな罰を受けることになってしまった」
そんなチームのなかで、圧倒的な期待を受けてきたのが香川である。
入団セレモニーには7000人ものサポーターが集まった。フェルナンデス監督は香川を活かすために、フォーメーションを変えた。セットプレーのキッカーも任せた。本拠地ラ・ロマレダの向かいにあるファンショップにいけば香川のグッズは人気商品だ。名前の入ったユニフォームが置いてあるのはもちろん、チームでただ1人、名前と背番号のプリントされたマグカップも売られている。