逆境で流れを変える一打を放つ。

　今大会での鈴木の最大の功績は、逆境の時に流れを変える一打を放ち続けてきたことだった。

　オープニングラウンドのベネズエラ戦で1点を先行されて嫌なムードが流れた直後の5回に勝ち越しタイムリーを放つと、続くプエルトリコ戦では先制3ラン、台湾戦でも先制のタイムリー三塁打。

　日本に戻ったスーパーラウンドでも初戦の豪州戦で2点を先制された直後の4回に、反攻のノロシを上げるソロ本塁打を放つとメキシコ戦でも先制タイムリー。

　決勝の韓国戦ではいきなり1回に先発の山口俊投手（巨人）が2本塁打で3点を失った直後の2死一塁から左越えにタイムリー二塁打を放って嫌なムードを振り払った。

　4番の条件とは監督、チームメイトやファンが打って欲しいと思うときに、その期待に応える一打を打てる打者だとすれば、まさにこの大会での鈴木は満点の4番打者だった。

理想の3、4番を組める。

「後ろと前に良い打者が揃っている。つなごうという気持ちが良い結果につながったんだと思います。（MVPは）もちろん嬉しいですけど、それよりチームの優勝。それを目標にやっていたので、それを達成できたことが凄く嬉しいです」

　試合後には例によってクールな表情でこう語った鈴木に、指揮官は改めて絶大な信頼を隠さない。

「彼の働きはチームにとって非常に大きかったと思う。4番として本当にバットでチームを引っ張ってくれた」

　鈴木が4番に座れば柳田を3番に置いて機動力も長打もある理想の3、4番を組める。ケガなどのアクシデントがない限り東京五輪の4番はほぼ決まったと見てもいいだろう。

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