野球善哉BACK NUMBER
筒香嘉智はずっと準備してきた。
満を持してメジャーへ、自信と勝算。
posted2019/11/20 19:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kiichi Matsumoto
そのスピード感に、彼の挑戦心が表れているのかもしれない。
ポスティングでのメジャー移籍を視野に入れているDeNAの筒香嘉智外野手が、同制度の申請に早くも入った。昨季、同じ制度を利用した菊池雄星が12月に入ってからだったのに対し、かなり早い段階で手続きに入ったと言えるだろう。
日本人がメジャーに挑戦する方法はポスティングとFAしかないが、メジャーのスカウトの中には、日本人選手の本気度をなかなか読み取れないという人もいる。過去に「メジャー挑戦」をカードに、日本での長期契約を結んだケースも多かったからだ。
事実、「世界野球プレミア12」の大会中、あるメジャーのスカウトから「秋山翔吾の本気度が見えない」と吐露された。バッターとしてさらなる成長を目指している秋山は、メジャーという舞台に新たなる可能性を見出しているはずだが、メジャーの中にはそう見る人もいる、ということである。
夢ではなく、現実的にメジャーへ。
その意味で、筒香選手のスピード感は、メジャーと契約したいという強い気持ちが表れたものだろう。FAになったメジャーリーガーたちの動向を注視していた菊池とはまた異なるケースだ。
そもそも筒香は、昔からメジャーを目標としてきた選手だ。それも、プロに入って結果が出てから憧れたタイプではなく、プロに入団する時にはアメリカを目標の到達地点として設定していた。
それは、ただ「夢」「憧れ」として掲げてきただけではなく、どうすればメジャーの舞台で活躍できるかを考え続けてきたということだ。
日本人野手はメジャーでは苦戦することも多いが、特に苦しいと言われるスラッガータイプとして、メジャーで成功していくために何が必要なのかを考えて、取り組んできた選手なのだ。