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ラグビー決勝戦で響いた3つの歌。
2019年秋の記憶を留めるために。 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byGetty Images

posted2019/11/11 18:00

ラグビー決勝戦で響いた3つの歌。2019年秋の記憶を留めるために。<Number Web> photograph by Getty Images

決勝戦のスタンドで盛り上がるイングランドファンの人々。彼らはとにかく陽気だった。

流行語になったフレーズとともに。

 予想外に、この歌の時間が、心地よかった。

 最初はスタンドに日本人を中心に「照れ」が充満していた。でも、次第に歌うことの心地良さに気がつき、みんなが大声で歌い始めた。横の席にいた南アフリカを応援するグループも、ここぞとばかりに声を張っていたし、『God Save the Queen』で陶酔していたイングランドの女性3人も笑顔でリズムをとっていた。

 そう、なんだか『カントリーロード』の響きは、平和で、楽しくて、いつまでも余韻にひたっていたくなった。ぼくも最初は口ずさむだけだったが、最後はやっぱり歌っていた。

 そして今日の会場と自分自身のこの曲への態度は、日本とラグビーの関係のようだとも思った。

“世界の人々がおもしろいと言っているけど、ちょっとルールが難しそうだし、選手の名前もほとんど知らない。それでもチケットは買ってみようか。4年前に大金星をあげた日本代表は応援したいな。おっ、ラグビー、めちゃくちゃおもしろい! 日本代表、アイルランドとスコットランドに勝った!! ほかの試合もみよう。ああ、もうワールドカップが終わってしまうのか”

 すごく雑なまとめだけれど、おおよそこんな空気が確かに、日本列島に流れていたと思う。

「ONE TEAM」「ジャッカル」「笑わない男」「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」、そして「にわかファン」。5つものフレーズが流行語大賞の候補に選ばれるほど、日本人がラグビーに熱をあげた2019年秋。

「桜の証言」のページをめくれば、『Swing Low』、『God Save the Queen』、『Take Me Home, Country Roads』の響きが、蘇ってくる、かもしれない。

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