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ラグビー決勝戦で響いた3つの歌。
2019年秋の記憶を留めるために。
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byGetty Images
posted2019/11/11 18:00
決勝戦のスタンドで盛り上がるイングランドファンの人々。彼らはとにかく陽気だった。
イングランド、NZの徹底研究。
大会を沸かせたイングランドとニュジーランドの2チームも、もちろん忘れていない。
マロ・イトジェ、トム・カリー、サム・アンダーヒルら高い能力と献身性を併せ持った若手有望株が能力を発揮し、エディー・ジョーンズの戦術を彼らが体現したことで決勝まで駒を進めたイングランドの「凄み」については、前サントリー監督の沢木敬介氏に徹底解説してもらった。
特にエディーがこの4年間の「ラグビー界の戦術的趨勢の変化」についてどう対応していったか、について語っていただいた部分は目から鱗が落ちる思いだった。
イングランドに準決勝で敗れたオールブラックスについては、同国のレジェンドであり、現在は神戸製鋼でもプレーをするダン・カーターの独占インタビューと大友信彦さんによるレポートで、試合の中にも見え隠れしていた「敗因」と、それでもなお色褪せない彼らの「魅力」について迫っている。
そのほかにも、2年前から「にわかファン代表」を公言してきた糸井重里さんと中竹竜二さんの対談、元日本代表のプロップで現役バリバリ、通称「バズ」こと浅原拓真選手のイラストによる「実はコイツがスゴかった」、予選プールからの全45試合の出場選手、得点経過などを収録した「完全リザルト」など、どこからでも日本開催のワールドカップを振り返れる内容になっている。
「カントリーロード」という選曲。
Country roads, take me home
To the place I belong
West Virginia, mountain mama
Take me home, country roads
歌声に溢れていたラグビーワールドカップの決勝戦、実は、自分が一番気に入っているのは、ハーフタイムにイングランド人も、南アフリカ人も、日本人もみんなで歌った『Take Me Home, Country Roads』だ。
マイクをもつ司会者とスタンドのかけあいのなかで、二択から選ばれた歌ではあったのだが、なぜあの場で『カントリーロード』だったのかはよくわからない。おそらく日本代表がこの曲をもとにした『ビクトリーロード』をテーマにしていたので、大会の組織委員会が「これなら盛り上がる」と判断したのだろう。
でも、イングランド人と南アフリカ人と日本人(そして自国が決勝に進むと信じて疑わずにチケットを購入していたけっこう多くのニュージーランド人)で、「ウェストヴァージニア~」(アメリカの地名だ)と歌っているのが不思議だった。しかも、ラグビーのスタジアム、決勝戦のハーフタイムで、だ。