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ハミルトンが6度目の総合優勝。
シューマッハーとの比較は無意味?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2019/11/10 19:00
6度目の総合優勝を決めたハミルトン。歴史上のあらゆる数字を塗り替えようとしている。
偉大な2人ともに戦った唯一のエンジニア。
ボニントンは現在ハミルトンのレースエンジニアを務めているが、実はそれ以前の'11年から'12年にかけて、メルセデスでシューマッハーのレースエンジニアも務めていた経験を持つ。
シューマッハーとハミルトンの両方とともにレースを戦ったレースエンジニアはF1界でボニントン、ただひとりだ。
だからこそ、「2人のドライバーのうちどちらが優れているかなんて、評価を下すことはできない」とも言い、こう続けた。
「まず、私はミハエルのフェラーリ時代に一緒に仕事をしたわけではないから、ミハエルの絶頂期を知らない。ミハエルがメルセデスに来たのは'10年。ミハエルは'06年限りで一度F1を引退して、その年、復帰したばかりだった。
結局、優勝できないまま'12年に引退したけれど、元チャンピオンの彼がメルセデスに来たおかげで、私たちエンジニアたちはさまざまなことを学び、成長した。何よりチームメートだったニコ(・ロズベルグ)にとって大きな刺激となっていたよ」
ハミルトンを育てたのはシューマッハー。
引退したシューマッハーと入れ替わるようにメルセデスに'13年に加入したのが、ハミルトンだった。
「ハミルトンもまたニコを通して、ミハエルの影響を大きく受けていた。もちろん、私もミハエルと一緒に仕事をしていたから、影響を受けていた。ルイスはそれらすべてを吸収して、より速さを磨き、強く成長していったと思う。
だから、ルイスがミハエルの記録を更新したからといって、ルイスがミハエルより優れたドライバーだと軽口を叩くことはできない。なぜなら、いまのルイスを育てたのは、私に言わせればミハエルだからね」