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ハミルトンが6度目の総合優勝。
シューマッハーとの比較は無意味?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2019/11/10 19:00
6度目の総合優勝を決めたハミルトン。歴史上のあらゆる数字を塗り替えようとしている。
過去の記録の偉大さは消えない。
ハミルトンがアイルトン・セナを尊敬するドライバーとしてあげていることは有名である。
しかし、ハミルトンが11歳だった'96年に、父親に連れられて初めてF1を生観戦したベルギーGPで優勝したのがシューマッハーだったことは、あまり知られていない。
その4年後、'00年のイタリアGPで優勝したシューマッハーは、記者会見で「この勝利によってセナと並ぶ41勝目となった」ことについて尋ねられると、カメラの前で泣き崩れた。そのとき、初めて私たちは、セナの存在がシューマッハーにとっていかに大きなものだったかを知った。
新たな記録が生まれても、それまでの記録の偉大さが消えることはない。なぜなら、記録は上書きされるものではなく、挑戦を続ける者たちによって、継走されていくものだから。ハミルトンの走りを、セナもシューマッハーも見守っている。