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なぜ今のホンダはF1で勝てない?
その根源的な答えが……出たかも。
posted2016/07/02 08:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
伝説の扉が開かれたのは、いまから33年前のことだった。1983年7月14日から開催されたイギリスGPで、ホンダは第2期F1活動を再開させた。'68年に休止して以来、15年ぶりのF1復帰だった。
復帰から2シーズンは苦しい戦いを強いられたホンダだが、3シーズン目となった'85年から徐々に戦闘力をアップ。4シーズン目の'86年にはついにウイリアムズとともにコンストラクターズチャンピオンに輝いた。
その後、ホンダはマクラーレンとともに黄金時代を築き、第2期F1活動を休止する'92年までの間に、コンストラクターズ選手権で6回、ドライバーズ選手権でも5度頂点に輝いた。
アイルトン・セナとアラン・プロストという稀代の名ドライバーを擁して、マクラーレンとともに成し遂げた16戦15勝という最高勝率は、いまなお塗り替えられることがないF1界の金字塔となっている。
「あの強いホンダは、どこへ行ったのか?」
ホンダは2000年に第3期F1活動を再開。しかし、勝ったのは2006年のハンガリーGPの1勝だけ。2015年に復帰した後は、優勝はおろか表彰台にも上がっていない。
ホンダが挙げた72勝のうち、69勝がこの第2期に記録されたものである。第2期がホンダだけでなく、F1界にとっても伝説の時代と言われるのは、そのためだ。
「なぜ、ホンダは勝てないのか?」
「あの強いホンダは、どこへ行ったのか?」
こうした声を日本人だけでなく、海外のモータースポーツファンの間でもよく聞く。
「組んだ相手が悪かった」
「レギュレーションによって、ホンダのアドバンテージがなくなった」
「本田宗一郎と仕事した世代が抜けてしまった」
答えもじつにさまざまだ。