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跳躍マピンピ、ハカを見るファレル。
モノクロームで味わう楕円球の世界。 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byDavid Ramos / World Rugby via Getty Images

posted2019/11/08 20:30

跳躍マピンピ、ハカを見るファレル。モノクロームで味わう楕円球の世界。<Number Web> photograph by David Ramos / World Rugby via Getty Images

準決勝、ボールを追いかけて跳躍する南アフリカのWTBマカゾレ・マピンピ(左)とウェールズのSHガレス・デービス。

背後で何が起こっているのか。

10月26日 横浜国際総合競技場
準決勝/イングランドvs.ニュージーランド

 スポーツ写真家として、オールブラックスがハカを踊る目の前でピッチに立つことは特権であり、名誉なことでもある。今回オールブラックスのハカに対して、イングランドの選手たちがV字フォーメーションで対峙したのは、まさに興奮する瞬間だった。私は自分の背後で何が起こっているのか最初は分からなかった。しかし、スタジアム全体が叫んでいたのが聞こえて、とんでもない瞬間に立ち会えていることに気が付いたのだ。

 この写真はイングランドのキャプテン、オーウェン・ファレルがオールブラックスの選手を見て、挑戦的な顔で彼らを眺めているのが、大型ヴィジョンに映った1枚だ。歴史的な瞬間を捉えた、最高の1枚と言える写真である。

10月26日 横浜国際総合競技場
準決勝/イングランドvs.ニュージーランド

 イングランドvs.オールブラックスの準決勝は、とても素晴らしい試合だった。世界トップクラスの選手同士がぶつかりあっただけに、迫力ある写真がいくつも撮れた。そんな中でもこの写真は、おそらくこの試合で最も激しいタックルだと思う。イングランドのヘンリー・スレイドが、コーナーに向かって全力疾走するセヴ・リースに突撃しているもの。リースの顔を見ても、この瞬間がいかに激しかったかがわかる。ラグビーというスポーツの真実を伝えるのに丁度良い1枚だろう。

リードの流血、フォードの視線。

10月26日 横浜国際総合競技場
準決勝/イングランドvs.ニュージーランド

 偉大なオールブラックスのキャプテンである、キーラン・リードが鼻から流血をしていることが、この試合が激闘であったことを物語っている。今大会で代表を退くキャプテンはすべてをフィールドで捧げたのだ。この写真では、ニュージーランドのヘッドコーチであるスティーブ・ハンセンが彼を慰めている。

 もう1つ注目したいのが、試合中に4回のペナルティキックを成功させた写真左のジョージ・フォード。敗れた偉大なるキャプテンのうつろな表情と、そのオールブラックスから大半の得点を奪ったフォードの鋭い視線がとても印象的だ。

【次ページ】 スタジアムの外で感じた高まる熱。

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