One story of the fieldBACK NUMBER
清原和博が大切なものを取り戻す日。
12月1日、八王子に集まる人々の思い。
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byKyodo News
posted2019/11/07 20:00
記者会見での清原和博氏。「レジェンド・ベースボール・フェス」はワールドトライアウト直後、12月1日に開催される野球教室イベントである。
「やっぱり僕、野球しかないんです」
それから野々垣は飲食店をたたみ、西のバックアップを受けながら清原が野球に復帰するためのイベント開催へ動き出した。
そうしているときの野々垣は厨房に立っていたとときはまったく別人のように見えた。
「やっぱり僕、野球しかないんです。清原さんのために動いているときが一番、自分らしいような気がします。これしかできないんです」
野々垣もこの3年半、何か大きなものを失っていたのだ。
少しずつ「信頼」を取り戻していく作業。
清原にとっての「復帰」とはこういうことの積み重ねではないだろうか。
失った関係、信頼をひとつずつ取り戻していく。薬物依存症や鬱病という自分との闘いと並行して、それらを積み重ねていった先にあるものではないだろうか。
逆に言えば、執行猶予期間が満了する2020年6月15日より前に「復帰」できることも、それを過ぎても「復帰」できないこともあるという、難しいハードルなのかもしれない。
12月1日の八王子には清原の親友である佐々木主浩や、デーブ大久保、PL学園の後輩・野村弘樹や宮本慎也も駆けつける予定だという。集まった子供達への野球教室も予定されているという。
薬物によって一度は失った旧友たちの輪の中で清原氏はどんな顔をしているのか。
何よりも子供やファンや野球に対して、自身のどんな姿を示すのか。
人が人によって再生していく様を見てみたい気がする。