One story of the fieldBACK NUMBER
清原和博が大切なものを取り戻す日。
12月1日、八王子に集まる人々の思い。
posted2019/11/07 20:00
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph by
Kyodo News
清原和博氏は日常を取り戻しつつある。
2016年2月に覚醒剤取締法違反で逮捕され、同5月に懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けてから、まもなく3年半が経とうとしている。
執行猶予明けが近づいてきたということが大きな要因ではあるのだろう。
別れた家族と連絡ができたり、昔の仲間と再会できたりしているという。先日は野球のトライアウト・イベントの監督を務めることが発表され、多くのメディアに取り上げられた。社会との繋がりも取り戻しつつある。
プロ野球用語で言えば「復帰」である。これからの歩みはそう表現されていくのだろう。
法律上、刑の確定から4年間、刑事事件を起こさなければ刑罰権は消滅する。
ただ、野球界のスターにとって、人生における本当の意味での「復帰」とは、その日が来れば自動的に成るというものではないはずだ。
社会への露出によって成るというものでもないはずだ。
薬物に手を染めたことで失った多くのものを少しずつ取り戻していくことによって初めて成る。清原氏も周囲の人たちもそれを理解しているように映る。
そうした意味で、来る12月、清原氏にとってひとつの節目がやってくる。
12月1日に開催される大事なイベント。
「レジェンド・ベースボール・フェス」
12月1日、ダイワハウススタジアム八王子で行われる野球イベントだ。「グリーンシードベースボール」(gsbb.jp)という財団と八王子市教育委員会が共催する。
イベント開催に奔走したのは財団の代表である野々垣武志、PL学園野球部から西武ライオンズに入団した元プロ野球選手である。
野々垣は奈良の桜井で生まれ育ち、甲子園の決勝戦でホームランを放った清原を見て、憧れて、PLへ進み、名門の4番を打ち、西武でともに戦い、引退後は清原氏の個人マネージャーを務めた。
いわば「清原になりたかった男」である。