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五輪代表選考に急な「待った」!?
クライミングでも国際組織の謎決定。
posted2019/11/07 11:30
text by
森山憲一Kenichi Moriyama
photograph by
Kenichi Moriyama
東京オリンピックのスポーツクライミング代表選手選考が大混乱に陥っている。
11月1日、日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)は記者会見を開き、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)を相手取って、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したと発表した。
現在、スポーツクライミング東京オリンピック代表として内定しているのは、男子の楢崎智亜と女子の野口啓代のふたり。代表選手は1カ国最大4人(男女2人ずつ)まで派遣することができる。残る男1女1の座を争って、選考レースが本格化しようという最中の発表だった。
JMSCAによれば、楢崎・野口のほかに、男子の原田海と女子の野中生萌も代表に決定するべしということを、IFSCが突然通告してきたのだという。
つまり、上限人数に達したので日本の選考レースは終了。今後行なわれる選考大会に他の日本人選手が出場して所定の成績を収めたとしても、その選手にオリンピック出場の権利は与えられないということだ。
代表入りを目指してきた選手に衝撃。
東京オリンピック出場を目指していたのは、上記4人のほかにも、男子の楢崎明智と藤井快、女子の森秋彩と伊藤ふたばなどがいる。彼ら彼女らにとってはまさに青天の霹靂。目標にしていた大舞台への道が、突然消えてしまうというのだから。
新たに代表に決定するという原田と野中にとっても、素直に喜べる話ではない。
ゴールに向かって走っていたマラソンレースを、突然10キロで打ち切られて表彰されるようなものなのだから、納得できないのも無理はないだろう。実際、野中は、4日に中国の大会から帰国したときの会見で、この件についてのコメントを拒否している。
今回、JMSCAが行なった提訴は、日本の代表選考レースに大混乱をもたらすこの通告の撤回を求めるものだ。その行く末は不透明だが、12月1日までの裁定を求めているという。