フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
紀平梨花も「新時代だな」と苦笑い。
軽々と4ルッツ、トゥルソワの強さ。
posted2019/10/28 12:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
10月25日からブリティッシュコロンビア州ケロウナで開催されたGPシリーズ第2戦目、スケートカナダ。女子は紀平梨花とアレクサンドラ・トゥルソワの対決に注目が集まっていたが、予想に違わず見事な戦いが繰り広げられた。
初日のSPでは、きれいな3アクセルをきめた紀平梨花が81.35で順調にトップに立った。サプライズの2位は、同じく3アクセルを成功させて78.22を手にした韓国の新人、ユ・ヨン。そして3ルッツ+3ループを成功させたアレクサンドラ・トゥルソワが74.40で3位というスタートになった。
女子歴代最高スコアを更新したトゥルソワ。
ジュニアの当時から話題になっていたトゥルソワだが、10月のジャパンオープンではフリーで4度の4回転を着氷して人々の度肝を抜いた。
トゥルソワのフリー『ゲーム・オブ・スローンズ』のサントラのプログラムは、彼女の欠点を実にうまくカバーするよう構成されている。まだまだトランジションが少ない空っぽの部分を、ドキドキさせるような音楽の盛り上がりによって緊張感を保ち、中だるみを感じさせないように工夫がされた振付だ。
このスケートカナダでも、フリーには4度の4回転を組み込んできた。だが冒頭の4サルコウで、トゥルソワは激しく転倒した。次に予定されているのは4ルッツ。男女を通して、現在スケーターが降りる最も難易度の高いジャンプである。転倒の後、このジャンプに挑むのはおそらくトップ男子でもためらうだろう。
だがトゥルソワは、あっさりと成功させた。続いて4+3トウループ、2アクセル、スピンとコレオシークエンスを経て後半で4トウループ+1オイラー+3サルコウを着氷。3ルッツ+3ループは恐ろしいほどのバネを感じさせる勢いで跳んだ。
フリーは166.62、総合241.02。どちらも彼女自身が持っていた歴代最高スコアを更新させた。