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八村塁NBAデビューでダブルダブル!
「ひと言で言うと、彼は勝者だ」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYukihito Taguchi
posted2019/10/26 15:00
NBAにおいて「ダブルダブル」を日本人として初めてマークした八村塁。開幕戦からチーム内外に強心臓ぶりをアピールした。
見事にダブルダブルを達成!
実際、八村のプレーは終始落ち着いていた。序盤に立て続けにファウルを取られたり、3Pシュートを3本とも外したり、3Qにはゴール下で3回もシュートをブロックされたりという場面もあったが、得意のミドルレンジのジャンプシュートを続けて決め、後半にはオフェンス・リバウンドに積極的に飛び込むプレーで存在感を発揮。終わってみると、24分51秒の出場時間で合計14得点。リバウンドでも10リバウンドのダブルダブル(2部門2桁)を記録した。
試合後、デビュー戦の感想を聞かれた八村は、「チームとしても(今季)最初の試合ということで、僕もそこそこの仕事ができたんじゃないかと思っている」と語り、控え目の言葉ながら、手ごたえを感じたようだった。
もっとも、だからといって満足しているわけでもなかった。「そこそこの仕事ができた」と言う前に、「試合、負けてしまったんですけれど……」という前置きがあったように、チームが100対108と黒星発進となったからだ。
ブルックスHCは、デビュー戦でのダブルダブルの活躍を喜ぶよりも、試合に勝てなかったことを反省する八村を「ひと言で言うと、彼は勝者なんだ」と褒めたたえた。
「彼(八村)にとって、すばらしい最初の試合だった。残念なことに私たちは試合には勝てなかったけれど、彼は、私が思っていた通りのプレーをした。彼はもっといいプレーをしたかったと思っているだろうけれど、それも、私が彼のことが好きな理由だ。14点・10リバウンドをあげたからといって、試合に負けたら満足することはない。彼は勝つことを大事に考えていて、私たちはそれができなかったからね」
6カ月間82試合という長丁場。
活躍しても、試合に負けても、終わったことを引きずる時間はNBAにはない。ウィザーズは試合後すぐに次の遠征地、オクラホマシティに移動。2日後にはプロ2戦目となるサンダー戦、そしてその翌日にはスパーズ戦が待っている。6カ月の間に82試合という長丁場のシーズンはまだ始まったばかりなのだ。
八村も、「サンダー戦のあともすぐに試合が入ってくるので、そういうなかでは切り替えが大事じゃないかなと思う」と前を見た。
今はまだ、感慨にふける余裕はないかもしれない。それでも、この先、20年、30年たち、引退した後でも、NBAデビュー戦は一生覚えていることだろう。ブルックスHCが、30年以上たった今でも、デビュー戦ではフィールドゴールを決められず、フリースローを4本中3本決めたと、正確に覚えていたように。